昨日ですね。J's Foundation 人道支援プロジェクトサポートの為のチャリテイコンサート。去年の9月から始まっていた”Welcome back to The 80's Part-1・終わりなき疾走~ALL FOR RUN”のプレファイナルでした。
本来は今日だけだった神戸公演に一日追加する形で発表されました。他は全てファンクラブ対象でしたから唯一の一般公演となりました。僕は金沢から直行。正直に言えば、体力的にはさすがにしんどかったです。
でも、コンサートは素晴らしかったです。ほんとに素晴らしかった。ずっと続いてきたコンサートの完成形。完璧、という感じでした。非の打ち所がない。80年代当時には出来なかったライブ。そういう意味での完成形とのようにも思えました。
色んな意味で、ですよ。歌はもちろんです。浜田さんの声、出てましたしねえ。終わってから実は鹿児島の後に若干心配な状態になったんですよ、と知ったんですが、そんな様子は微塵もなかった。伸びやかでしたし、艶もありました。
演奏もですよ。あれだけのミュージシャンの気持ちが一つになって自分のベストプレイを披露していた。音も良かった。会場もあるんでしょうね。楽器の鳴り方のデイテールが伝わってくる。大音量なんだけどバランスがいい。成熟のロックコンサートでした。
演奏もフレーズも激しいんですよ。でも、粗削りじゃない。独りよがりさの欠片もない。それぞれの分野での名人が腕をふるっている、腕の見せ所を心得ている。そこに観客の反応が加わって行く。コンサートを作るのは客席だ、という言葉がぴったりでした。
何よりも感動的だったのは、80年代の曲なのに”あの頃の唄”という聞こえ方をしてなかったことでした。懐かしさはもちろんあるんですよ。でも、それだけじゃない。そこには演奏と歌が古さを感じさせないということが前提ですけど、そこに終わってなかった。
”今”、という軸がぶれていなかった。10代が主人公の曲でも、今があってのあの頃の歌だった。今とつながっている。今の自分の中のいる”10代”を確認できる。そして、後半は、まさに今の歌に聞こえました。
と、ここまで書いてきて、そうか、ツアーが終わったんだから曲目を書いていいんだ、と思いましたが、ここまで来ちゃいました(笑)。そういう現在性を強烈に感じたのが「明日なき世代」でありました。
”俺たちの明日”ですよ。”誰にも渡さない”ですよ。そして、”まだ倒れちゃいない”でしょう。そんな感覚は若い頃よりも強くなってますからね。周りがバタバタ倒れているからこその実感。2020年の歌に聞こえました。
客席の大合唱もそうだったんです。”青春の追体験”という感じじゃなかった。”あの頃もこんな風に歌ったよね”じゃなかった。”これが今の俺の気持ちなんだ”という迫力がこもってました。思わず振り返って客席を見てしまいました。
「家路」もそうでしたね。”たどりつけないかもしれない”と感じているからこそ、こう願う。しかも、思いもよらなかった弾き語りの浜田さんとの合唱ですからね。俺の歌、私の歌、そして、みんなの歌。不純物ゼロ。素晴らしいフィナーレでした。
”帰り来ぬ青春”という有名な歌はありますが、”帰り来し青春”だったわけです。青春は帰ってきました。でも、2020年のコンサートだった、残り少ないけれどまだ明日のある僕らのコンサートでありました。
終わってから浜田さんに挨拶する機会があったので、手短にそんな感想をお伝えして、歩いて帰りました。小雨が気持ち良かったです。会館の近くの古いビジネスホテル。ネットで見つけたんですが、震災前の神戸の由緒を感じさせるホテルでした。
朝、食事を終えて部屋に戻ろうとしたら、ファンの方に呼び止められました。チケットは取れなかったけど神戸まで来た、とのことでした。会場に来られた方も来られなかった方も、同じ時代を生きてきたことに変わりはありません。
みなさん、お元気で。改めてそんな思いを強くした夜でした。素晴らしい夜でした。というわけで、曲です。これでしょう(笑)。「明日なき世代」を。この間、「旅する音楽ライター・最後の旅」と書きましたけど、撤回(笑)。まだ倒れてません。じゃ、おやすみなさい。