という本があるんです。今年が結成35周年のバンド、怒髪天のリーダー、ボーカリスト、増子直純さんの語り下ろし自伝。これが面白いんです。痛快なくらいのやんちゃ悪ガキ自伝。ミュージシャンのこういう本としては屈指。むしろ例がないかもしれませんね。
何しろ、喧嘩早い。バンドを組んだのは高校の時。その頃から地元札幌のシーンでは有名というような次元じゃない。札幌に出てくる悪ガキたちの間で、暴走族とはやってもいいけど髪の毛が青と青の二人のモヒカンには手を出すな、と言われてたそうなんです。
その一人が増子さん。もう一人もバンドメンバー。何しろ、ステージでビール瓶をたたき割ってその破片の中で血だらけになって歌っていたとか、すさまじいエピソードが満載。それでもミュージシャン仲間では慕われている兄貴分的存在。今もそうですけどね。
高校を卒業して父親に半ばだまされたような形で航空自衛隊に入ってからの話も面白かったですね。大人たちや社会に中指を立てて粋がっていた悪ガキが戦争とか平和について考えるようになって大人になっていく。
で、バンドでデビューして上京して思うような活動が出来ずに活動休止、包丁の実演販売をやったりその道すれすれの世界に足を踏み込んでしまったり。語弊があるかもしれませんが、世の中の底辺で矛盾とか人情を実感してバンドに戻って行くんです。
洋楽のコピーでもなければ学生気分の延長でもない。泥臭く熱情的、汗と涙の苦労人ロック。でも、音楽はベタベタしないオールデイーズ・ロックンロール。と書いている僕も彼らの良さに気付いたのは30周年を迎えるあたりから。大きなことは言えません。
35周年記念シングルが出てるんです。その一曲の「オトナノススメ」は2009年の曲なんですが、何と総勢220名でトリビュートしている。一曲をそれだけの数でやってるんですよ。次々と参加者が増えてしまって8カ月かかって作ったんだそうです。
で、NACK5「J-POP TALKIN」のインタビューゲスト。なぜ彼らがミュージシャンたちに好かれるのか、インタビューをお聞きになれば納得されるでしょう。オンエアは12月前半の二週。少し先ですけど、その前が山崎まさよしさんです。
あ、本は音楽と人出版社。というわけで、曲ですね。総勢220名参加のトリビュート。どうやってレコーデイングしたのか、ドキュメント映像が公開されてます。「オトナノススメ・35th 愛されスペシャル」を。じゃ、おやすみなさい。