1976年の発売。今は手に入らなくなっている埋もれた名盤。全曲の作詞が松本隆さん。曲を書いているのは自分では曲を書いてこなかった良子さんはじめ、財津さん、大野克夫さん、細野晴臣さん、ブレバタの岩沢幸矢さんたちが並んでます。
ご存じない方の方が多いでしょうね。松本さんは全曲の詞を書くだけでなくプロデユースもしてます。作曲家やミュージシャンの選定は彼ですね。76年。まだ作詞家としてはそんなにブレイクしてない。太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」がヒットした翌年です。
実を言うと僕も忘れてたんです。お恥ずかしい。ジブリの機関誌「熱風」の連載が80年代に入ったんですが、何か忘れてたぞ、という感じで思い出しました。時系列からは逸れるんですが、これを扱っておかないと次にいけない。急遽取り上げることになりました。
先日、デイレクターの本城さんにお会いしました。スパイダースやテンプターズなどグループサウンドのそうそうたる人たちを手掛けた伝説のデイレクター。長谷川きよしさんや石川セリさんもそうですね。森山良子さんはデビューからそうです。
どういうアルバムかと言うと、色んな人が参加してます、ということじゃないんです。ジャケットがイラストレーターの矢吹伸彦さんが描いた家族の写真。ちょうど良子さんが直太朗さんを出産する直前に作ったアルバム。その絵の中に乳飲み子が描かれてます。
良子さんの人生の転機に作ったアルバム。曲の中に「子供たちに教えなさい」という曲もあります。団塊の世代が次々と親になっていた時期ですね。「バス通り裏」という、NHKの連続ホームドラマがモチーフになった曲もあります。
荒木一郎さんが洗濯屋さんの御用聞きで出演してました。そういう生活風景。つまり、良子さんと松本さんの子供の頃のことが重なり合ったようなアルバムなんです。その後の松本さんの「おしゃれ」イメージとはかなり違います。
で、明日、良子さんにアルバムについて話を聞く時間をもらえました。彼女が毎週、生放送でやっているニッポン放送の「ミュージック10」の放送前。こんなにギリギリのお願いに対応してもらえることは多くないです。
それだけ彼女にとっても思い入れがある作品、ということになります。そんなに売れなかったみたいですからね。再評価されるといいなあ、という一枚、少しでも力になれれば、という感じです。そういうアルバム結構ありますよ。
そういうキャリアのある人たちのオリジナルアルバムはどんどん廃盤になって手に入るのはベスト盤ばっかり。僕らがやらなければいけないのは、そういうことでもあるんだろうなあ、と思ったりしてます。
というわけで、今日も雨です。日曜日は雨と相場が決まってしまったようです。わびしい晩秋。肌寒かったです。曲ですね。そのアルバムの中から一番手に入りやすい曲「バス通り裏」を。じゃ、おやすみなさい。