ファンクラブにはもう発表になってますが、来年1月から始まるみゆきさんのツアーには「2020ラストツアー・結果オーライ」というタイトルがついてました。これが最後の旅。一瞬、目を疑いました。また何かのご冗談、という感じもしたんですが、そうじゃなさそうです。
確かに、いつかそういう時は来るとは思ってましたけど若干早い気もしました。何でしょうね、あの方に限ってそんなことはないかも、と勝手に思い込んでいた、そういう潜在的な願望みたいなものもあったのかもしれません。
ツアー、やっぱり大変なんだなあ、という感慨の方が強いかな。他のアーテイストがそうじゃないということではないですが、彼女のコンサートの集中力は尋常じゃないものもあります。それは、「一会」にせよ「縁会」にせよ、ライブ映像が物語ってます。
みゆきさんが、ツアーの映像作品を残してこなかったことは周知のことでしょう。単体のライブ作品はありましたけど、初のツアー映像、ツアーのライブアルバム「歌旅」が出たのは2008年。デビューして30年以上経ってからでした。
何でそれまで出さなかったか。ライブはその日、その会場の人たちとしか作れない一期一会の産物だから、特定の会場のものを収録して「ツアー映像」として出すことは出来ない、ということでした。
じゃ、何でその時に出せるようになったか。ようやく、どんな会場であろうと納得したライブが出来るようになった、それだけのクオリテイに到達したから、ということでした。演奏や歌だけではなく、会場の空気みたいなものもですね。
つまり、会館の条件とか、客席の年齢層とかを越えて自分の空間が作り出せる自信がついた。30年かかってるんですよ。それを持続することが難しくなった、ということなんでしょう。コンデイションの維持ということもあるでしょうね。
少しくらい楽をしてもいいし時間もそんなに長くやらなくてもいいから、という地方のお客さんも多いでしょうけど、やっぱりそれは出来ない、ということなんだと思います。難しいところですよね。それはもう、本人にしか分からないわけですから。
でも、キャリアの長いアーテイストはみなさん、そういう場面に差し掛かってます。先週の22日から始まった陽水さんの50周年ツアーもそうでしょうし、14日からファンクラブツアーが始まった浜田さんもそうです。
考えたくないですけど、あと何回見ることが出来るのだろう、という現実が迫ってきてます。「夜会」や大都市で行われている「夜会工場」のような形はあるようですが、地方へのツアーという形はこれが見納め。焼きつけましょう。でも、どっかで「なーんちゃって」はないのかな、ないんでしょうね。
この間、今日の一曲が「傾斜」だったのは、何か予感したんでしょうか。曲ですね。「予感」ね。アルバム「予感」の中から「誰のせいでもない雨が」を。じゃ、おやすみなさい。