明後日、16日の命日に発売されるBOXですね。72年のデビュー曲「恋する季節」に始まる全シングル87曲が網羅されてます。それ以外にもカップリング曲やCD未収録曲も加えた92曲。CD5枚組とDVD一枚。まさに全貌です。
改めて聞いてみて、そのボリュームと刻まれたストーリーに圧倒されました。こんな曲を歌ってたんだとか、こんな作家を起用していたんだとか、驚かされることばかりです。世間が知っているヒデキさんはほんとに氷山の一角。メデイアは何を伝えて来たんだろうと思います。
シングルA面曲が87曲ですからね。DISC1が77年の「ボタンを外せ」。DISC2が78年の「ブーツを脱いで朝食を」から81年「センチメンタルガール」。DISC3が81年の「ジプシー」から87年「NEW YORK GIRL」まで。多分、ヒット曲として知られているのはその辺まででしょう。
その後、DISC4が87年「心で聞いたバラード」から95年の「心の扉」、DISC5が96年の「round'n'round」から2015年のインデイーズでの「蜃気楼」まで。このDISC4と5がすごい。アイドルという枠に収まらない、それを自分で否定するかのような意欲的な曲が続いてました。
それぞれの曲に全曲解説がついてるんです。書いたのはマネージャーの方。助かりました。どの曲がどんな風に決まったのかとか、ヒデキさんが、何にこわだったのかが書かれている。単なる裏話でじゃない。説得力がありました。
DISC3あたりから起用されている作家が変わってきます。DISC1は、阿久悠さんとか安井かずみさんとか、鈴木邦彦さん、や筒美京平さん、馬飼野康二さん。歌謡曲系の職業作家の方達が多い。70年代は特にそうですね。
80年の「眠れぬ夜」あたりから変わってくる。水谷公生さんとか横浜銀蠅とか、井上大輔さんや後藤次利さんとか、角松敏生さんとかね。そういう中に82年の松本隆・吉田拓郎コンビの「聖・少女」があるわけです。ワムのカバーが入ったりもしてます。
もう70年代のアイドル路線はなくなってます。大人のロック・ヴォーカリスト。特にバラードの若い頃にはない深い情感。そんなハイライトがDISC5でした。YOSHIKIさんとかユーミンとか、M.C.A.T、富樫明生さん、河村隆一さん。聴きごたえがあります。
本人の意向でそうなった、というはそれぞれの曲の解説があってこそ分かることですね。そういう中で、え、と思ったのが93年の「いくつもの星が流れ」だったんです。80年のヒロスケのシングル。フォーライフでした。
何気なく聞いていて、これいい曲だなあ、でも、どっかで聞いたことあるなあ、と思って解説を読んでヒロスケだったと思い出しました。本人がラジオ制作会社の倉庫で見つけたアルバムの中の曲だったんですって。そういう人だったんだ、と思いました。
DISC5は、病気発症後のシングルとインデイーズの最後のシングル「蜃気楼」が入ってます。そして、未発表曲「青春」で終わってます。知りませんでした。まるで遺書のような曲でした。ヘッドホーンで聴いていて泣きました。
87曲のシングルを含む全92曲が物語になってました。シングルに比べてアルバムが少ないヒデキさんだと思ってましたけど、全部がアルバムのようでした。それぞれの時代の”点”が”線”になりました。感動的なBOXでした。
明日は、FM COCOLOの特集の三週目、BMGビクターとユニバーサルの担当のお二人がゲスト。レコード会社にとってのヒデキさんがテーマです。この曲、流します。93年の「いくつのもの星が流れ」を。似合ってました。じゃ、おやすみなさい。