野音にいました。出演したのはSaucy Dogという関西出身の3人組バンド。インデイーズで二枚のミニアルバムが出て、今年の秋にメジャーデビューするという、ま、新人ですね。僕も初めて見ました。
実は、誘われた時、彼らのことは知らなかったんです。声をかけてくれたのがAースケッチというレコード会社のプロモ―ター。flumpoolとかONE OK ROCKに代表されるようにバンドの発掘や育成に長けているレコード会社ですね。
でも、正直に言うと、面白そうだなと思ったのは、バンドに対してよりも野音だったからですね。メジャーデビュー前のバンドで野音がソールドアウトしている、ということにまず惹かれました。
そして、日付です。4月30日、つまり平成最後の日の野音。それだけで決まり、という感じでした。どんな風に平成を終わるのか、最後の日に何をしているのか。気分的なもんでしょうけど、自分なりの意味を持たせたい。
テレビの懐古番組を見ているのも能がないし。いつも通りに仕事してました、でも良いんでしょうけど、それも何だなあと思っていた矢先でしたからね。野音で終えるというのは、願ってもなかったです。
平成の想い出、色々ありますけど、集約すると「ライブ、一杯見たなあ」でしょう。それしかない(笑)。3500本くらいは見たことになるのかな。最近は減ってきましたけど、野音もよく行きました。愛着があるのは、武道館か野音でしょうね。
Saucy Dogのヴォーカルの石原さんが「バンドの聖地」という言葉を使ってましたけど、野音には平成の前からの歴史もあります。僕も初めて行ったのは、1966年頃かな。ライブじゃなくてデモ、でしたけど(笑)。ライブでも70年代初頭ですから45年以上は経ってますね。
そういう歴史的な日のライブ。プロフィールだけ見て曲は聞かずに行ったんです。曲を聴かずにライブに行ったのは相当に珍しいです。つまり全曲が新曲だった。そうしたかったんです。それが良かった。新鮮でした。
オープニングがメンバーがふらっと表われて客席に向かって深々一礼。初の野音ですからね。普通は「イエイ」とか「ウオー」とか、気合満々という始まりになるでしょうけど、正反対。へえ、こういうバンドなのかという感じでした。
ロックバンドなんだけど構えてない。自然体、まったりしている。曲の合間に考え事をしているようだったり、ライブに高ぶっている気配がない。もっと噛みしめながらやっている。何だか、昭和のフォークシンガーみたいでもありました。
もちろん客席が曲に合わせて手を振る、みたいなシーンもあるんですけど、もっと歌を伝えようとしている。詞がいいね、と思わせる歌もののライブだったんです。そういう意味でも野音らしかったです。
雨、降ってましたからね。最後は止みましたけど、ほとんど降りっぱなしでした。でも、台風とか嵐みたいな豪雨じゃなかたんです。むしろ感傷的な雨。失恋ソングも多かったんで、それも似合ってたんでしょう。豪雨を吹き飛ばす激しい一夜、みたいじゃありませんでした。
でも、野音の周辺、霞が関一帯、コンビにも休みだったりしました。雨がっぱを買うんで回ったんですけど、営業しているお店でも売り切れだったり。スタッフ用のものを使わせてもらう羽目になりました。
今、最後部での立ち見でも傘は禁止、だそうです。前はそこまで厳しくなかったんですけどね。でも、最後の日を全くの初対面バンドのライブで終えた。いい締めくくりになったと思ってます。
令和になったら、体力的な意味もありますから、そんなに多くは行けないでしょうし。そういう意味でもさよなら平成、さよなら若かった頃、という感じです。というわけで、曲ですね。これも今日初めて聞きました。Saucy Dogの出世作「いつか」を。じゃ、おやすみなさい。