一昨日と昨日ですね。50周年ツアー「光陰矢の如し 少年老い易く学成り難し」というタイトル。これだけ大仰といいますか、堅苦しいといいますか、真正面といいますか。普通の人はつけないタイトルですよねえ。
でも、大真面目であればあるほど可笑しく思える。冗談なんだか本気なんだかわからく思える。これが井上陽水。らしいタイトルということになりますね。でも、内容はそんなはぐらかしたようなものじゃありませんでした。
自分でも言ってましたけど、できるだけみなさんに楽しんでいただこうという選曲。50年分を網羅している。これもやるんですか、これもやってくれるんですね、というラインアップ。ヒット曲のオンパレード、と言いたくなりますが、そうはさせてくれない。
ヒット曲をヒット曲としてやらない。さあ、どうですか、懐かしいでしょう、みなさん一緒に振り返りましょう、ではない。今の彼の気分、心境、気持ちに沿ったようなアレンジと演奏。はしゃいだ感じが全くない。密やかな緊張感が漂っている。
ミュージシャンも素晴らしいですから。ドラムの山木秀夫さん、ベースの美久月千晴さん、ギターの長田進さん、今堀恒雄さん、キーボード、小島良喜さん、音楽監督、星勝さん。もう浜田さんでもお馴染みの面々。小島さんが「毎回違うんだよ」と言ってましたけど、セッションのような自在さで陽水さんを支えている。
この間書いた「傘がない」なんかすごかったですからね。今の気分の「傘がない」。”ない”という実感のある「傘がない」。そう今の歌なんですよ。「氷の世界」で一番耳に飛び込んできたのが”流れてゆくのは時間だけなのか涙だけなのか”でしたからね。
そういう歌詞が飛び込むように歌っているのか、そういう聞き方をしてしまったのか。そこは定かではありませんが。でも、そう思わせるツアーなのかもしれません。絶妙です。こういうツアーは最初で最後でしょう。
まだ見たことがない、という方、是非。これが井上陽水です。というわけで、曲、「氷の世界」。”流れてゆくのは時間だけなのか涙だけなのか”という歌です(笑)。じゃ、おやすみなさい。