昨日、最後まで見てしまいました。1時間25分。あんなに長いとは思わなかったんですけど、やめられなくなりました。引き付けるものがありました。何でしょうね。自分の言葉で語っている魅力というんでしょうか。
どんな質問でも、通り一遍に終わらせない。常套文句で済ませない。時には質問した人に聞き返したりといシビアさももちつつ、ユーモアも心がけようとしている姿勢。質問に答えるだけじゃなくて、自分で言わなければいけないことを加えている。
かなり考えていたんだろうとも思えましたね。質問に出なくてもここで話さなければいけないこと。プロ入りした時のこととか、引退を考えた時のこととか、野球に対しての考え方の変化とか。自分の去就についてとか。
マリナーズ時代は「自分のためだった」けれど、ヤンキースに行ってからは「みんなが喜んでくれるため」に変わった、とか。ヤンキースに行ってからはいつも「クビ」を意識していたとか。「自分には人望がない」とまで言ってましたもんね。
色んな発言が、これまでに目にしてきたミュージシャンのものと重なったり比較してみたり、というのは僕の職業柄なんでしょうけど、スポーツ選手という感じがしなかったですね、というとスポーツ選手に失礼か。
何度か笑ってしまうところもありましたし。「アナウンサーみたいな言い方しないでよ」というのもありましたよね。「この場に及んで、そんな儀礼的な言い方しないでほしい」。そういう覚悟みたいなものも迫力になってた気がしました。
それに比べると、質問者の腰が座ってないなあという感じもしたんです。そこで終わるか、その質問という感じとか。人の質問を聞いてないのかと思ったり。「さっき話しましたよね」と言われてましたもんね。
音楽で言うと、誰だろうな。矢沢さんとか、拓郎さんとか、トーンは違いますけど、陽水さんもそういうところがありますね。どんなこと言うんだろう、というのが内容だけじゃなくて、言い回しとか比喩とかの面白さになってる気がしました。
試合も感動的でしたね。菊池雄星投手が男泣きしているのを見てもらい泣きしそうになったり。そう、イチローさんが彼を「あいつ」と呼んだり、二人だけの会話を「ここでいうわけにはいかない」と言ったのも印象的でした。
夜、イチローさんの夢見たんです。グランドのダッグアウトの端っこでインタビューしてる夢。インタビューというより会話か。終わって別れてからグランドの真ん中で「イチロー!」と叫んで号泣している夢でした。
ああいう夢も初めてかな。やっぱり記者会見の印象が鮮烈だったんでしょう。でも、「どうやって終わるか」というのは、どんな人にとっても大きなテーマじゃないでしょうか。拓郎さんの今回のツアーもそんなドラマの一つなのかもしれません。
と言っても音楽にはそういう引き際がない。その分、キャリアを重ねるという意味では、スポーツ選手とは違うドラマもあります。でも、比較にならないかな。あそこまでの頂点、高みを極めた選手はいないわけですからね。
こうやって時代が変わって行く、時が流れてゆく。「イチローのいない時代」が始まる。そして、平成が終わるわけです。というわけで、明日は、NACK5の「J-POP TALKIN’」の完パケと小山卓治さんのライブ。原稿を頼まれてます。
曲ですね。小山さんの89年のアルバム「夢の島」の30周年盤が出ました。その中の曲を。「大統領様」。フォークルや高石ともやさんも歌っていた反戦歌。これ、歌ってたんだよなあ、と改めて思いました。イチローさんからは逸れますけど(笑)。じゃ、おやすみなさい。