先日7日に新作アルバム「自由」を発売した六文銭の発売記念ライブ。アルバムの曲を全曲披露するというレコ発ライブらしい内容でした。レコ発ね。どっかなつかしい言葉になりました。CD発売記念と言った方がいいか。
でも、アルバムという概念すら消滅の危機にありますからね。若いリスナーはアルバムという聞き方をしなくなってる。一曲ごとに配信やYou Tubeで聴いて済ませる。これはどうにかしないとねえ、と思っているのは僕だけじゃないでしょう。
アルバムだから楽しめる、アルバムだから伝わる、ということがたくさんあるわけですが。そういう意味でもアルバム発売記念ライブらしい内容でした。ちゃんとアルバムを聴いていったからでもありますけど、古い曲を聴きたいと思わなかった。
ベテランと呼ばれる人たちが誰もが抱えるジレンマは「古い曲を聴きたい」という声が大きいことですね。新曲よりも古い曲をやってほしい。ライブでもそういう空気とどこか戦わないといけない。新曲をやってる時はシーンとしていて古い曲を演奏すると拍手が起きる。そういう空気がなかった。
新しい曲に彼らしい曲が多かった、ということもあるんでしょうね。小室さん、及川さん、四角さんがギターでユイさんがウクレレという編成。小室さんと及川さんの声や歌の違い。四角さんとユイさんの優しいハーモニー。自然で心地よかったです。
ポレポレ座という場所も合っていたんでしょうね。小室さんは定期的にトークイベントもやったりしてたホームグランド。ステージはあるけど、そんなに大げさじゃない。客席が80席くらいかな。客席の電気も暗くしない。学園祭とかの雰囲気でした。
六文銭は70年代のフォークグループの中でも独自なスタンスを崩さなかった。直接的なメッセ―ジを避けて詩的な想像力や比喩的な詩情を表現してきた。ファンタジーというほど現実離れしてないんだけど、現実に寄りすぎない。
大人っぽかったと言ってもいいでしょうね。みんな若くて意気がっている中で、どこか理性的でもありました。その良さは今の方が出ているんじゃないでしょうか。どんなに逆立ちしたって、もうみんな若くないわけですから(笑)。
若者文化と呼ばれてましたからね。当時から”長老”的存在だったのはそういうこともあったんでしょう。その落ち着き方が、今聞くととっても心地いい。ステージに立ってはいるんだけど、そういう身構え方が全くない。
デビュー50周年の新作オリジナルアルバム。いい響きです。懐メロにも同窓会にもなっていない。2009年に活動再開してからのネーミング「六文銭09」から「09」が取れて「六文銭」になったのもそういう理由でしょう。
この後、今年から来年にかけてツアーもあります。新作を携えてのツアー。現役であります。現役の歌と演奏とメッセージ。小室さんの体調管理は娘さんのユイさんがいるから大丈夫(笑)。今の彼らをぜひ。
曲ですね。フォーライフ時代の曲も四人の歌になってました。繊細でしみじみした歌に生まれ変わってました。そう、しみじみ、そしてほのぼのと暖かいライブでした。「長い夢」を。じゃ、おやすみなさい。