三日間引きこもってました。昨日と一昨日は原稿。今日は一日中、CDとか諸々。そろそろ今年も終わりなわけで、2018年を振りかえって、みたいな話もあるんですね。でも、みんな忘れかけてるんでまとめて聞き直さないと、という一日でした。
1日でどのくらい聞いたかな。100曲近いことは間違いないですね。ポップスからロックから演歌まで。ヒットしたり話題になったりという人や曲。面白かったですねど、頭がガンガンしてます。もう限界ね。
で、あれこれ聞いた中でひと際輝いていたように思ったのが、その2曲なんですよ。なんだか別次元なくらいに際立ってるように聞こえました。才能がほとばしってる。普通じゃ出来ないことが形になっている。天才の証しという感じでした。
宇多田さんの「初恋」。すごいとしか言いようがない。呼吸が歌になってる。鼓動がメロデイーになってる。血管が脈打つようにリズムが刻まれている。Aメロ、Bメロ、さびというような定型の音楽じゃない感じです。
彼女の声と息使いの魅力はデビューした当時から言われていたことですけど、そういうレベルじゃないです。ポップスとアートが一体になっている。商業音楽でありながら、そういう手あかのようなものが全くついていない。
僕は見損ねましたけど、彼女が出た「SONGS」を見た知り合いのジャーナリストが、「あんなに芸術的なことを考えて音楽を作ってるんだ」と驚いてましたけど、そういうことなんでしょう。気品が違います。
そして、米津玄師さんの「Lemon」。ダウンロードに関するデータでは彼が今年4冠とか5冠なんですってね。You Tubeの再生回数も軒並み数千万回。今、一番旬なアーテイスト。今年の代表曲が「Lemon」ですね。
彼もそういうジャンルは超えてますね。歌謡曲みたいな親しみやすいメロデイーでありながらクラシックのような劇的な展開が用意されている。しかも間断ない音やリズムの刺激が聞き手を飽きさせない。
彼のどの曲もそうですね。音の刺激。ビートというほど定型じゃないんです。どっかに刺激がある。あれはネット世代特有なんでしょうね。音楽と即時的にしか受け止めない。イントロがあって間奏があって、という悠長さがない。どこを取っても何かしらの刺激がある。
で、彼の声ですよ。これは前にも何度か書きましたよね。生々しく痛々しく切ない。BUMP OF CHICKENの藤原基央さんの声も同質なものがありますけど、もっと儚いて無垢。そして、もの哀しい。それでいて性急。「あ」と言っただけで彼だと分かります。
2018年のJ-POPシーンはあの二人に尽きる、とまでは言いませんけど、曲、という意味ではその2曲ではないでしょうか。というようなことを考えていた一日でした。でも、引きこもりは苦手です。煮詰まり行き詰まりどん詰まり。頭だけじゃなくて胃も痛い。明日は収録で出かけます。ライブもあります。
明日の「LEGEND FORUM」の収録はMr.Children特集の4週目。ゲストは森田恭子さん。FM COCOLO「おとといラジオ」のパーソナリテイ。元「パチパチ」。自分で「Lucky Raccoon」という雑誌を一人で編集してます。
30年前から知ってますけど、こうやって話すのは初めて。楽しみです。というわけで「初恋」と「Lemon」。二曲続けて。じゃ、おやすみなさい。