続き、と言ってもずいぶん時間が経ってます。でも、あれから改めて思ったこととかいろいろあって、あれで終わりという気分ではならなくなりました。そのくらい味わい深いアルバムだなあと思っております。
FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」で4週間特集していることもあるんでしょうね。今日、三週目を収録しました。アルバムが27曲ですから毎週7曲を紹介して4週間。最終週は一曲余る。それはDISC3のデモテープ集からかけます。
全曲をライナーノーツを紹介しながら聞いて頂くという企画。ライナーは僕が読ませて頂いてます。下手です(笑)。アナウンサーでも声優でもありませんから、読む訓練が出来てない。つっかえながら、とちりながら。拓郎さんが聞いたら怒るかなと思いつつ(笑)。
でも、ラジオは零細メデイアです。そんな製作費はありません。自分で読むしかない。とは言え、自分で声を出して読んでゆくと、文章の行間みたいなものを感じたりするんですよ。そういう意味でも奥深いライナーだなあと思ってます。
一言で言ってしまえば”本音”ですね。飾ってない。良いことを書こうともしてない。心境をほんとうに率直に書いている。余計なことも書いてない。説明的なこともない。自分にとってのこの曲、ということに徹している。短い言葉の中に色んな感情が込められている。
たとえば「シンシア」の”今も目がしらが熱くなる青春の1曲だ”というフレーズに込めたものとか。その前にかまやつさんとのことを軽く触れていたりするんで、そういうことも含んでいるんだろうなあと思わされたりね。
「清流(父へ)」の”この歌は今の僕の心の声である”とか。さりげないんだけど、そういうアルバムなんだなとジンワリと感じさせたり。「アゲイン」で”次のコンサートからは少し違う意味を持った楽曲になるであろうと 2018年の今僕は考え始めている”とかね。
”次のコンサート”2018年の今”という書き方で、まだ先があると思わせてくれたり。大上段に振りかぶらないでも意志は伝えている。「君のスピードで」の”僕自身最高のラブソングの1曲と自負している”とかね。
大げさなことは言わずにエピソードも具体的。当たり前ですけど、彼はミュージシャンなんだなあと実感させてくれる。こういうのを等身大というんだろうな、と思わせてくれる。そんなアルバムですよ。
印象的だったのが「おきざりにした悲しみは」でした。岡本さんのことも歌詞のことも、72年当時のことも一切触れずにミュージシャンのことだけ書いている。でも、この曲はちゃんと選んでいる。
自分の言えること、忘れられないことだけを書く。音楽以外のことは知らない。後は聞いている君たちのものだ、という潔さというんでしょうか。そのことがいっそう「吉田拓郎」という一ミュージシャン、一シンガーソングライターを浮き彫りにする。そんな感慨深いアルバムだなあと再認識しながら収録してました。
実は今日、誕生日だったんですよ、ってそんなに改まることもないですけど(笑)。いくつかはもういいか。ジジイです(笑)。で、どんな風に過ごすかと思って収録を今日にしてもらいました。
72回目の誕生日を拓郎さんの新作アルバム特集で過ごす。自分の現役の証しみたいなもんでしょうね。ここまで来たよいうことをささやかに味わいたかった。ご承知のように、彼はそういうこじつけや押し付けがましいことは勘弁してくれという人ですけど、そこは、ほら、聞き手の勝手でしょ(笑)。
ということでまた一つ年を取りました。お気づきの方、ありがとうございました。いろいろおぼつかなくなってますけど、もう少しお付き合いください。曲ですね。さて何にしましょうか。
「いくつになってもhappy birthday」か「君のスピードで」かな。いや、これかな。「おきざりにした悲しみは」。誕生日ぽくないか(笑)。でも、生きてゆくのはやっぱりどっかみっともないです。じゃ、おやすみなさい。