もうお手にされましたかって、まるでプロモーターだね。違うのか、と言われればそうです、としか言えませんが(笑)。8月29日発売でした。2枚組27曲とデモテープ15曲の3枚組計42曲。拓郎さんが「念願、夢だった」というアルバムです。
どんな曲が入ってるかは発売日まで極秘。媒体用の紙資料も曲目が載ってないペラ一枚。異例のかん口令でありました。でも、曲目を見て納得。実に興味深い選曲でした。練りに練った、考えに考えたということがよく分かります。
事前に明かすと色んな意見が出たでしょうしね。なんであれが入ってないんだとか、自分の好きな曲が聞きたかったとか。そういう雑音を聞きたくない。雑音ね、でも、拓郎さんにすればそれ以外の何物でもないでしょう。
番組の中で取り上げたものもありましたけど、こうやって並ぶと見えてくるものもあります。世間的なイメージとか評価とかではない、彼の中の「吉田拓郎」。あってほしい姿、聞きたい歌、忘れられない思い出。全部理由がある。
マスタリングをし直しているせいもあるんでしょうね。心地よい統一感。流れが自然。I-PODに入れ寝る前に聞くという曲だそうですから、そうなりますよね。眠りを妨げる曲が入るわけがない。
明日のFM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」は、4週間かけて全曲を紹介しようと思ってるんですね。もう一週目は収録してあります。その中でも話したんですが、ライナーノーツが実に興味深いです。
自分の曲について語ってこなかった人が、こんなに丁寧に解説している。ミュージシャンとのエピソードまで書いている。よく覚えてるんですよね。今まで話さなかったのはそれだけ大切にしていたんだということがよく分かります。
4週間で27曲ですから。一週7曲。一曲あまりますけど、それはお楽しみ、ということなんですが、明日は1曲目から7曲目。「春を待つ手紙」から「Oldeis」まで。絶妙な流れであります。
一曲目のライナー、読まれましたか。自分の書く詩が「事実に基づいているような印象があるらしいが、まったくの間違いである」。君たちが思っていることはまったくの間違いです、と最初に宣言している。
このアルバムは、そういう間違いを正すためのアルバムです、と言ってるみたいでしょ(笑)。いい始まりだなあと思いました。今の人生観そのもののような「僕の道」、2016年のライブで感極まった「流星」、そして、年齢讃歌の「いくつになってもhappy birthday」。70代の心境でしょう。この辺は入りそうでしたよね。
そっからですよ。70年代の歌に入って行く。どれも理由がある。これかあと思ったのが「Oldeis」。理由はライナーをね(笑)。スバルのCMソングと「フォークビレッジのテーマ」の合体。そういう意味では一番古い曲と言っていいでしょう。考えましたねえ、という感じです。
今回、あらためて思ったこと。「フォークビレッジ」のテーマにあまり懐かしさを感じなかった。何でだろうと思ったら、僕は文化放送だったんで、あの番組をあまり聞いていなかった。なじみがなかったということが自分の中で判明しました。
という余計なことも考えたりしております。それぞれにお楽しみを、というアルバム。自分の好きな曲が入ってないという方はご自分でお作りになればいいじゃないですか(笑)。ということで、「Oldeis」を改めて。じゃ、おやすみなさい。