何をいまさらという感じ、するでしょう、しないか(笑)。最後のツアーが終わってから結構経ちます。僕が見たのが5月の東京ドームですから3か月以上か。でも、某月刊誌から「安室さんのことで話が聞きたい」という電話があったんですよ。
某月刊誌。怪しい雑誌じゃないです。むしろ立派な雑誌。え、そういう記事も乗るんですか、と思わせるような月刊誌。そうか、9月がファイナルだったなと。お世話になった方の紹介ということだったんで電話で30分くらいかな、話しました。
いきなりの電話ですからね。何の準備もしてなくて、でも、それが結構リアルで、話しながら自分で色んなことを整理してゆくという感じでした。安室奈美恵さんというのどういう存在だったのかとかこれまでの女性アイドルとどう違うのか、とかですね。
どう違ったか。例えばアイドルということで言えば、三つくらいの特徴がありますね。まずは、彼女が最初からプロ志向だったことでしょうね。ダンスというフィールドがあった。そこから始まっている。
従来のアイドルはシンデレラストーリーがあったわけです。普通の女の子がオーデイションとかコンテストで選ばれていきなりブラウン管、は古いな。テレビの画面の中で満面の笑顔で笑っているというストーリーですね。
彼女は違いましたよね。ダンスは言い訳が出来ない。顔が可愛くても踊りが下手だったら成り立たない。鍛えられることでうまくなっていく。そういうプロ意識の中でスタートした。そこがまず違います。
二つ目。ダンスはまだ茶の間に認知されていなかった。そして、彼女の舞台となったのが渋谷のセンター街に象徴されるストリートだった。厚底ブーツとミニスカートでストリートを闊歩するという存在。茶の間からは決して歓迎されなファッションのヒロインだった。それが憧れの的となった。
アーテイスト性ということでもそうですね。安室さんが安室さんたる所以は、2000年代に入ってからでしょう。小室哲哉さんと離れて自分でプロデユースをするようになる。ヒップホップやクラブミュージックに接近してゆく。
アイドルでありながら時代の最先端の音楽と一体化する。それによってダンスという武器がより輝きを増してゆく。聖子さんも90年代に入ってシンガーソングライターに成長してゆきますけど、対峙している時代性が違いました。
そして、シングルマザーという生き方でしょうね。年を重ねて行っても若い頃よりも美しさを増してゆく。ファッションやスタイル、ルックス。誰もが憧れる存在のままあり続けた。アンチエイジングのヒロインでもあった。
それにあのライブの形があります。言葉ではなく歌とダンス。身体での表現。義ぎりぎりまで自分を追い込むような迫真のライブ。女性アーテイストのライブで「覚悟」を感じさせられることは多くないです。
そういう色んな要素があっての引退。その潔さがみんなの胸を打つのではないか、というような話をNACK5の「J-POP TALKIN’」で一回だけインタビューした時のことを交えながら話したんですが、どうなるでしょう。
大人向けの一般誌ですから、きっと数行のコメントで終わってしまうんでしょうけど、自分の中でいろいろ整理がついた感じでした。あの人はきっと「自分に恥じない生き方」をしたかったんだろうな、と思います。
「安室奈美恵に恥じない」でも良いのかな。自分に納得できなくなる前に身を引く。その辺が氷室さんにも共通すると思っているのですが。というような話をした、ということで。安室さんのこと、またの機会とか言っておきながら触れてなかったですもんね。
というわけで報告終わり(笑)。曲ですね。好きな曲を。「Don’t Wanna Cry」か「Baby Don’t Cry」。後の方かな。じゃ、おやすみなさい。