FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」の5月の特集、美空ひばりさん。四週目の収録でした。ゲストは加藤和也さん。ひばりさんの事務所の社長さん、そして、去年の東京ドームでの生誕80周年祭のプロデユーサー。息子さんですね。
一週目を僕一人でやって、二週目は元スポーツニッポンの編集局長、小西良太郎さん、ひばりさんだけじゃなく、ファミリーから最も信頼されていたジャーナリスト。お葬式でひばりさんの遺骨を拾われた方。三週目がシャープス&フラッツの原信夫さん。そして、今日でした。
私論・美空ひばり、というのが一週目。二週目は「戦後日本と美空ひばり」、三週目が「ジャズとひばり」というテーマ。その締めくくりとなりました。当初は和也さんはお願いできないと思ってましたし、どっちかと言うと演歌の世界によっているのかな、という先入観があったんですよ。
それが違いましたね。2007年に彼が書いた本「みんな笑って死んでいった」の中にこんな一節があったんです。「美空ひばりは決して演歌歌手ではなく、時代が一番求めれている音楽や歌を、先頭に立ってパフォーマンスするアーテイストなのだ」。
読んだときに「おう!」と声を上げそうになりました。まさに、そういう番組にしようと思ってたからですね。血筋という一番近いところにいてプロデユーサー、「美空ひばり」という不世出の歌姫をどう伝えてゆくかという最大の責任者。彼がそう言っているのだとしたら、彼に登場していただくしかない。
面白かったですね。ひばりさんが実はパンクロックにも関心を寄せていたとか、松本清張さんとの食事会で自分から歌ってしまったとか、もし、ここで何かあったら、そのまま戻れないという命懸けのステージをやっていたとか。
そういう具体的なエピソードを交えながら、美空ひばりにおける「破壊と再生」とは何だったのかを話してくれました。あの血筋の方ですからね。声の良さとか話のうまさは折り紙付き。編集が大変なくらいのボリュームになりました。
妙な言い方ですけど、ラジオで良かったと思ったんですよ。最後の東京ドームの「不死鳥」コンサートはテレビでも放映されてますし、色んな特集で紹介されてます。でも、映像だと表情や姿に目が行ってしまうんで、実は歌にはそんなに神経が行ってないことが多いんです。
ラジオ、ですよ。東京ドームの歌を聴いてもほんとに歌がうまい、という次元じゃない。魅了されます。言葉一つにこんなに感情が込められるんだ、メロデイーが憑依するんだ、ということが音声で伝わる。
MCなんか特にそうですよ。声の微妙な震え、感情の集りがそのまま感じ取れる。映像でいつもご覧になっているという方こそ、歌を堪能して頂けるのではないかと思いました。やっと念願叶ったという四週間でした。
というわけで、ひばりさんの東京ドーム「不死鳥コンサート」から「われとわが身を眠らす守唄」を。あんまり知られてない曲でしょう。88年のアルバム「不死鳥」の中の曲。去年はJUJUが歌ってました。
明日はFM TOKYO「Kei’s Bar」の収録で亀淵昭信さんがゲスト。ラジオの大先輩。恐縮しつつです。じゃ、おやすみなさい。