・先月発売になった小室等さんのアルバムのタイトルが「プロテストソング2」。78年に出した「プロテストソング」の39年ぶりの続編。全作詞が詩人の谷川俊太郎さんです。前作もそうでした。
・プロテストソング。世の中に対して流されない、という意思表示。抵抗するというほど強くないですね。メッセージするというほどストレートでもない。もっと内側の精神的なありようも含んでいるという感じでしょうか。
・小室さんと谷川俊太郎さんとのコンビは古いんですよ。1969年にはもう谷川さんの詩に曲をつけたものをシングルを出してますからね。76年に「今生きているということ」、77年に「父の歌」という名作アルバムもありました。いずれも全作詞が谷川さんです。
・当時はまだコンセプトアルバムという言葉もない時代でした。アルバム一枚がテーマに沿って作られていて、一人の詩人が書いているという形は珍しかったです。今も、そうかな。詩人の言葉ですから、作詞家が書くものとも少し違いました。
・ただ、谷川さんの言葉は“詩”でありながら“詞”にも近い。その両方の要素を持っていると言って良いでしょうね。とっても日常的で情景が浮かぶ。言葉の隙間からメロデイーが聞こえてくるような詩が多い気がしてました。というほど読んでませんけど。
・「プロテストソング2」は、小室さんの方から持ちかけたんだそうです。「1」は、「僕たち流のプロテストソングは何だろう」というところから始まった。39年経って、今、プロテストというのはどういうことなんだろう。ということで提案したと言ってました。
・言ってました、というのは「LEGEND FORUM」の一週目のインタビューの中で、ですね。それに対して「いいかもね」と言った谷川さんから一週間後に「歌えそうなものを選んでみました」というメモと一緒に十数編の詩が送られてきたそうです。
・谷川さん、1931年生まれ。80代後半。アルバムには「死」というテーマが見え隠れしてます。でも、暗くない。深刻にもならない。時には「死」を楽しみしているようなものもある。そういう意味でも希有なアルバムだと思いました。
・一曲目に「希望について私は書きしるす」という曲が入ってました。彼にとって「希望」とは何か。もちろん、かなり以前に書かれていた詩ですから、今回の選挙は全く無関係です。でも、示唆するところの多いアルバムだなあと思わされました。
・小室さんも今年74才ですからね。これが最後の「プロテストソング」という意識は当然あるでしょうね。二人のコンビも後どこまで続くか分からないでしょうし。そういう意味では遺言のようなアルバムなのかもしれない、と思って聞いてました。
・こんなことってあるのか、という呆然とするような選挙でしたね。アルバムは“声を上げること”と“沈黙すること”、あるいは“死んでしまうこと”と“”残されること“、そして”殺すこと“と”殺されること“。そんないくつもの対比を歌っているようにも思いました。
・台風、ご無事でしたか。幸い、思ったほどではなくて良かったです。でも、日本は嵐の中ですね。というわけで、小室等さん「プロテストソング2」から「希望について私は書きしるす」を。じゃ、お休みなさい。