昨日と今日ですね。僕が行ったのは昨日。アリーナツアーのファイナル。武道館、初めてだったんですね。今、もっとも勢いのあるバンド。武道館ならではの熱っぽくて親近感のある良いライブでした。ステージと客席、近かったです。
去年の「君の名は」現象がすごかったですからね。もちろん、そういう”旬”な感じもありましたけど、ブーム的な意味の瞬間風速感はなかったですね。お客さんが、彼らの曲をよく知っている。今まで聴いてきた人たちが、この大ブレイクを一緒に祝っている感じでした。
元々、演奏力には定評のあるバンドでしたからね。ロックとかジャズとか、音楽のジャンルで分けられない。それぞれの曲をどう表現するかということに特化した表現力に長けた自在な演奏力。それが更に高度になった気がしました。
何しろ、自由。音楽のスタイルや約束事や、定型的なことから解放されている。こんなに自由で、こんなにしなやかで、こんなに感情の赴くままで、こんなに優しくてしかも激しい。想いが溢れるがままという感じのコンサートでした。
野田さんも「10年前のライブを見ている人は今の姿に驚くかもしれない」「ずっと苦しみの中で音楽をやっていた」と言ってましたけど、求道的なストイシズムみたいなものから解き放たれている印象だったんですね。
去年の新作アルバム「人間開花」が、そういうアルバムだった。今まで、敢えて閉ざしていたような扉もためらうことなく開けている気がしたんですね。それがライブになっているように思いました。
野田さんのあの知的で傷つきやすい繊細な声と演奏の起伏。一つの曲、一つの言葉を表現しようとする細やかな豊かさ。ロックという言葉でひとくくりにしてしまうことが勿体ない。ほんとに良いライブでした。
ジャンルがない。制約がない。英語の曲もありますけど、言葉の壁も越えてゆくだろうなあとも思わされました。演奏力と曲だけで海外でも勝負出来るバンドであることは言うまでもないでしょう。
彼らの歌の中の人と人の繋がりやお互いの認め合い方。アンコールで歌われたこの曲を「オーダーメイド」。なぜ心臓は一つしかないのか。なぜ人はこの世に生まれたのか。彼らの優しさと存在論の原点でしょう。じゃ、お休みなさい。