昨日二十で、今日五十、って何のことでしょうか。20、50は当たり前、というどっかのデイスカウントショップの割引率ではありません。年齢であります。昨日のMrs.GREEN APPLEのお二人が二十才。今日の馬場俊英さんが、もうすぐ五十才という、お二人の数字ですね。
そうやって並べると、五十才の方が不利かな。そんなことないですよね。それぞれに良さがあって、その人にしか作れない物を作っている。何歳でもあろうと、そういうアーテイストに対してのリスペクトは変わりません。
もちろん、親近感とか、そういう距離感は違いますよ。昨日みたいなこちらがぎこちなくなってしまうという身構え方はありません。そういう意味では、年が近い方が気が楽です、って年、近いか。自分がいくつだと思ってるの。二十歳、よりは近い(笑)。
NACK5「J-POP TALKIN’」の2月前半の二週間。順番が逆になりましたけど、これはもう単純に先方のスケジュールの都合ですね。馬場さんは、2月22日に、「EP4~I HAVE A DREAM」を出します。4曲入りですけど、ボーナストラックが6曲もあります。
馬場さんのインタビューは、3回目かな。「青春映画が好きだった」と「延長線を続ける大人たちへ」の時にお会いしてますね。メジャーから契約を切られて自主制作を続けて再びメジャーに戻った。リストラの星、として色んなメデイアで注目されるようになった後ですね。
そういう意味では8年ぶりインタビューということになりますね。ずいぶん時間が空いたなあとう感じもしますけど、その間にデビュー20周年も超えました。「EP4~I HAVE A DREAM」は、そこから次へ行こうとしている曲達です。
彼の魅力は、年齢相応のラブソングということでしょうね。若い頃とは違う愛情の感じ方や表現の仕方。それを生活レベルで歌う事が出来る。つまづく、とかくじけるとか、立ち止まるとか。そういう経験をしたからこそ分かってくる人と人の絆みたいなもの。
「I HAVE A DREAM」は、”持ち物を少しずつ処分していこう”という歌ですからね。あれもほしいこれもやってみたい、という年齢を過ぎて、何かを捨てて行ったり、諦めて行ったりという中で、この先へ持って行く夢を確かめているという歌です。
「アスファルトに咲く花」は、”最後のチャンスに賭けてみたい”という歌。ゆったりとして力強い。こういうのを大人のラブソングというんだよなあ、という4曲入りです。「旅エンピツ」という歌もありました。まさに”旅するソングライター”という歌ですよ。
旅エンピツ、なってみたかったです。音楽やっている人はいいなあ、と思うんですね。自分の歌を歌いながら旅をしてゆく。吟遊詩人。旅の俳人とか。もう無理なんでしょうけどね。せめて、そういう生き方をしている人に対してエールを送ることくらいしか出来ません。
アルバム、10曲入ってるんですよ。残り6曲は、そうやって旅をしてきたライブの音源。古い古い曲をライブで歌い直したり、スタジオ盤で入っている曲のライブバージョンとか。それぞれニュアンスが違っていて、色々楽しめます。
久々でしたけど、良い人だなあ、というのは改めて感じました。変わってないというか、より誠実になっている。妙な言い方ですけど、そういう人が生きて行けない業界であってはいけない、みたいな感じかな。エゴの強い方が勝ち、みたいな世界ですからね。
世界、ですよねえ。話が飛びますね。アメリカの混乱を固唾を呑むように見ている。本当にアメリカがアメリカでなくなってしまうのか。誰もが夢を見ることが出来るし、それを叶えようとする権利もある。それを奪うことも、拒むことも出来ないはず、じゃないでしょうか。
というわけで、曲です。馬場俊英さん、「I HAVE A DREAM」。アメリカ公民権運動の指導者だったマーチン・ルーサー・キング牧師の有名な演説が「I HAVE A DREAM」でした。色んな歌にもなっているこんな一節がありました。
”私には夢がある。いつの日にかジョージアの赤土の丘の上で かつての奴隷の子孫達とかっての奴隷所有者の子孫が 同胞として同じテーブルにつくことが出来るという夢です”
奴隷を移民と置き換えても良いかもしれません。新大統領は、その丘の上に壁を作り、同じテーブルにつこうとしている子孫達を引き裂こうとしている。悲しいなあ、と思います。馬場さんの曲はそういう歌じゃありませんけど、こういうことを書こうとしてたわけでもないですが。こうなってしまいました。あらためて、曲を。じゃ、お休みなさい。