ツアー最終公演でした(笑)。5本目。でも、ステージのMCでリハーサルを二ヶ月やったと言ってましたから、彼の中での”やり終えた”感は、僕らの想像出来ないくらいに強いものはあったんじゃないでしょうか。
良かったんですよ。感動的に良かった。ここまでの完成度になるとは、というくらい。さすがとしか言いようがない。そして、今までのどのツアーとも違うものがありました。何て言うんでしょうね。若い頃と変わってないとか、健在とかいうのとも違うんですよ。
市川の初日に感じた、今までになかったヒューマンな温度感を持ちながら、パフォーマンスが遙かに高度になっていた。声も出てましたし、艶も張りもあった。声、何だか若かったですもんね。演奏との一体感もほんとに気持ち良かった。清々しかった。
若かったは変かな。若い頃との比較というのではない、今の自分のハードルというか、自分で納得出来ることをやりたいという純粋さ、無垢さ、のようなものに溢れている。噛みしめているというと湿っぽいですけど、自分を慈しみながら歌っている感じがしたんですよ。
一番大切なものを確かめているというんでしょうか。ここまでやれる、これを歌える自分が嬉しい、という気持ちが素直に伝わってくるというか。勢いで音楽をやってないというか。もちろん、もう若い頃のような勢いは出しようもないわけですけど、それを踏まえて、それを超越している。
アーテイストの年の重ね方は色々ありますけど、大人の重みとか、渋みというんでもないんですよ。枯れるとか、衰える、とも違う。今、音楽に対して一番ピュアなんだろうなあとも思いました。帰ったばかりでうまく整理出来てないですけど、「毎日新聞」にそんなことを書こうと思います。
そうだ。今日、開演前に、新聞記者との”囲み取材”があったんですよ。一般紙もスポーツ紙も全紙来ていたんじゃないかな。彼が自分からやろうと言ったんだそうです。99年のツアーの時に「つま恋」のエキジビジョンホールでやって以来だそうです。それだけ手応えがあったんでしょう。
というわけで、曲ですね。拓郎さんで、「悲しいのは」。勝手に岡本さん追悼選曲だと思いました。じゃ、お休みなさい。