名前、ご記憶でしょうか。TBSパックインミュージックのパーソナリテイ。58才でなくなってからもう13、4年経ちますね。今度、彼のことを書いた本が出るんですよ。「1974年のサマークリスマス」という本。集英社からです。
その本の書評を頼まれて読んだんですが、これが面白かった。二日間で一気に読んでしまいました。本を読んで寝不足、久々ですよ。若い頃みたいです。書いたのは、柳沢健さん。僕は存知あげませんけど、文春の編集者をやめてライターになった方ですね。
林さん。僕より少し上。パックインミュージックのパーソナリテイになったのが、1970年。久米宏さんの代役からスタートしました。社員アナウンサーですね。文化放送の「セイヤング」やニッポン放送の「オールナイトニッポン」は、ミュージシャンとか外部の人が出てましたけど、「パック」は社員中心でした。
三局のうち最後に始まったのが、TBS。経費の関係とかあったんでしょうね。一番、分が悪かった。林さんが、突出していたのは、サブカルに特化したことですね。日本映画に肩入れしてた人。「八月の濡れた砂」は、林さんの力なしでは、ヒットしなかったでしょう。
日活ロマンポルノとかね。B級映画の応援団だった。そこにユーミンや石川セリなどのシンガーソングライターが加わった。デビュー直後のユーミンに最も積極的だったのが美雄さんでしょう。局の立場を超えてましたね。
なぜ、彼が、そういうマイナー、アングラなジャンルにのめり込んでいったのか、彼の生い立ちや時代背景、家族や同僚、緻密な取材で浮き彫りにしてゆきます。そして、彼が、社内で全く孤立していたとか、むしろ、疎まれていたというところまで迫ってくれます。
それだけじゃないんですよ。リスナーの追跡取材。これが面白かった。熱心なリスナーがその後、どんな人生を送ったか、今、どうしているかまで追ってる。あの時代の深夜放送がどんなものだったのか。70年代サブカルがどういうものだったのかが伝わってきます。
僕は「セイ!ヤング」でしたし、深夜放送というと、「オールナイト」の話題が多いですよね。でも、サブカルという意味では林さん抜きには語れません。僕がよく話すようになったのは、80年代になって、彼が現場を離れてからなんですけど、改めて知ったことが色々ありました。
僕の結婚式の司会もやってくれましたし、同志的な何かは感じてました。もし、ご興味あれば、是非。というわけで、石川セリさんの「八月の濡れた砂」を。じゃ、お休みなさい。