NACK5の「J-POP TALKIN’」、来週と再来週のゲストです。横山剣さんお一人です。いや、面白かったです。というと冗談一杯、ギャクが一杯というインタビューを思い浮かべられるかもしれませんが、その反対。真っ正面な感じが気持ち良かったです。
8月12日に16枚目のアルバム「もうすっかりあれなんだよね」が出ました。97年に結成ですから18年目にして16枚。毎年コンスタントにオリジナルを出し続けているというのも、重要なポイント。創作に対して真摯なバンドなんですね。
実は、お会いするのは初めて。これだけキャリアがあって、イメージも出来上がっている人に初めて会うのも緊張しますよ。緊張というか、堅くなる。ぎこちなくなる。でも、楽しい委員タビューでした。
何が楽しかったか。心底音楽を愛している人だった。子供の頃から音楽しかないと思って生きてきた人だった。好きな音楽がたくさんあって、身体の中に溢れている。話の端々に思いがけないアーテイスト名が次々と出てきて、そのことに話を振ると、そこから新しい面が見えてくる。
彼がクールスの一員だったことは事実として広く知られてますけど、クールスのアルバムを達郎さんがプロデユースしていることはそんなに知られてないでしょう。でも、その時、彼は、現場で達郎さんのやり方を見て刺激を受けていたりとかね。
クレージーケンバンドの中にある無国籍性、アジア志向みたいなエキゾチズムが実は70年代の細野晴臣さんの影響だったりとか。え、そうだったんですか、という話の連続。そこに彼の地元の横浜色が加わって今の作風になってるんだという発見とかね。
新作アルバムが力作だったことが、そんな話の説得力にもなってますね。「もうすっかりあれなんだよね」。良いんですよ。歌謡曲も見据えたジャパニーズ・ソウルファンク・アルバムの傑作と呼びたい。明確な音楽の志向の上にクルマの話や女の話や日本の風情についての言葉が載ってます。
何しろ、曲ができすぎて削ったという多作。ソングライター・横山剣、恐るべし、という感じでしたよ、って恐れることはないんですけど(笑)。まあ、僕が無知だっただけでしょうけど、”イーネ”を連発する横浜のちょい悪ロックオヤジ、という次元にはとうてい留まってないアーテイストでした。
人を先入観で判断してはいけないという好例になったかもしれません。日本のロック・ポップスの継承者の一人。良い出会いでした。ということで、インタビューを是非。曲です。アルバムの中から、赤塚不二夫さんをテーマにした曲です。「パパの子守歌」を。じゃ、お休みなさい。