昔、ベトナムで戦争がありました。僕らが10代から20代にかけて、ほぼ10年間続きました。そもそもは、ベトナムがフランスから独立したことに端を発してました。それまではフランスの植民地だったんですね。でも、そのことに危機感を持ったのがアメリカでした。
アメリカは、フランスから独立した時に、ソ連や中国の力が働いている。もし、このままベトナムが社会主義に染まってしまうとアジア中に影響を及ぼしてしまうと思った。ドミノ理論と呼ばれました。ドミノ倒しのように社会主義の国が増えてゆく。これを阻止しないといけない、と思ったんですね。
最初は、自分たちの息のかかった政権を作って支配しようとしたんですが、その政権が倒れると、直接の軍事介入を始めるようになります。そうやって、アメリカ本土から遙か離れたベトナムに最大時50万人、のべ250万人という膨大な数の軍人が送り込まれるようになりました。
結局、アメリカは勝利を収めることが出来ず全面撤退、ベトナムは独立して、自分たちの政府を樹立するわけです。アメリカの兵隊さんの戦死者は5万人以上、諸々の後遺症を入れると約30万人の兵隊さんが何らかの損失を被ったとされてます。
ベトナムはジャングル地帯。泥沼の戦場は、近代戦では予測不能な事態を引き起こし、装備も持たないベトナム側は、人々の暮らしと一体になった抵抗を試み、アメリカ軍は、核以外、化学兵器などのあらゆる兵器を使ったとも言われてます。それでも勝てなかった戦争でした。
何のための戦争なのか、アメリカの若者たちが音楽や映画など、様々な形で反戦運動が広がったわけです。ヒッピームーブメント、フラワーチルドレンと呼ばれる人たちが生まれていった時代です。武器よりも花を、LOVE&PEACEというメッセージです。
日本はどうしたか。沖縄や立川、横須賀などの米軍基地は、その拠点になりました。でも、兵隊は派遣しませんでした。韓国は違いました。アメリカの要請は断れないと軍隊を派遣して、アメリカ軍と一緒に戦いました。今もその後遺症に苦しむ人たちがたくさんいると聞きます。
日本が軍隊を派遣しなかったのは、憲法9条があったからでした。出来なかった。もしあの条文がなかったら、自衛隊は、ベトナムに行っていたでしょう。今後、もし、アメリカが同じような戦争を始めて、日本に軍隊の派遣を求めたら、断れない。むしろ、自分の戦争のように参加する。
今日、自民党と公明党が強行採決した法案というのは、そういう法案だと思ってるんですが、考えすぎでしょうか。というわけで、ザ・フォーククルセダーズの「大統領様」という曲を。じゃ、お休みなさい。