そうなんですね、やっぱり最初は戸惑われたという方もいらっしゃったんですね。確かに、これだけ色んなスタイルの音楽を踏まえているのはもちろん、その反面、歌の内容やテーマの統一感が鮮明なアルバムもが初めてでしょう。今までのアルバムと違う、というのは自然な感想じゃないでしょうか。
10年ぶりという間隔、震災を初めとする世界の出来事、60代最初のアルバムという年齢。これからの音楽活動に対して思うこともあるでしょう。今までと違って当然、ということでもあるでしょう。この先、いつまでやれるかも限られます。同じだったら、返って不自然かもしれませんよ。
未来のことも”できる限り”とか”命ある限り”としか歌えない。永遠というのは限りがあるからこその願望でしょうし。そういう意味では、心底思っていること、心から願っていることしか歌ってない印象ですよね。
”状況”を歌ってない気もしましたよ。世の中や世界の状況。今までの彼の”社会性”と感じさせる歌との違いがそれでしょうか。それは、彼の中の悲しみの深さの表れでもあると思いました。もう、状況を歌う事で何かが変わるような時代じゃない。世界は、もはや警鐘という次元にはない、ということでしょうか。
ラブソングに託したものはそれなんだろうなと思いました。ラブソングなんか歌ってる場合じゃない、という局面が来ないで欲しい。「PROMISED LAND」の頃かな、80年代当時、彼が、「「僕と彼女と週末に」が現実になるような時代が来てしまったら、どうしますか」という質問に「ラブソングを歌うと思います」と応えていたのを思い出しました。
いずれにせよ、深いアルバムだなあと思いますよ。色んな形で語られるべきアルバムでしょう。音楽の旅、レゲエがあったり、60年代テイストのアメリカンポップスがあったり、プログレッシブロックがあったり、フォークロックがあったり。音楽を楽しめるアルバムでもあります。
ということで曲です。「マグノリアの小径」を。彼の原点を感じさせました。じゃ、お休みなさい。