今日、スタジオで完パケにしました。インタビューを編集して、曲を入れてナレーションをつけるという作業ですね。完全パッケージの略称。デイレクターが編集してくれたインタビューにつける説明が多すぎてまとまらなくなってしまいました。放送は10日と17日です。
話したいことが沢山ある。こういうインタビューも多くないです。そういうアルバムも、ですけど。米津さんのメジャーデビューアルバム「YANKEE」です。タイトルでどんなイメージを持つでしょうね。ヤンキーは、あの突っ張り少年少女のことじゃないです。
移民ですね。メジャーリーグのヤンキースもそうなんですよ。彼の場合は、バーチャルの世界、ネットの世界から現実に移ってきたという意味の移民。これまでヴォーカロイドというバーチャルな世界から生身のシンガーソングライターとして活動する。舞台を移した、という意味なんです。
どんな人間がどんな人たちに向けて歌っているのかが分かるようなアルバムにしたかった、ということで書かれたアルバム。どの曲にも、相手が見える。例えば”痛みで眠れないまま 彷徨い歩く僕ら”呪いにかけられたふたり””否定されるくらいなら 黙り込んだ方がお得だ”と思ってしまうあなた、だったりします。
そういう人たちに”笑おう”とか”楽しもう””遊ぼう”とか、”手をつなごう”とか歌いかけているんですよ。優しく、痛い心象風景というんでしょうか。閉塞しているとか、人との繋がりを持てないとか言われる若者たちならではのいたわりとか、切々とした励ましとか。
それでいて中には、土の匂いや花の香りや、山里の暮らしが見えるような曲もある。彼は徳島出身なんですけど、そういう風土が見えるようなノスタルジーが漂っている。バーチャルの世界にいたら歌えないような文学的な叙情もある。映像的なのは自分でイラストも書くということもあるんでしょうね。
色んな感想もあるんですけど、ネット世代なんでしょうねえ。情報量が圧倒的に多い。言葉や音の刺激。飽きさせない音作りというんでしょうか。アルバム全体がそういう音なんですね。そう、アルバムなんですよ。一曲単位で音楽を聴くという世代が、こういうアルバムらしいアルバムを作ったことにも意味があるんじゃないでしょうか。
書き出すと止まらない、何度も書きますがこういう人、アルバムは多くないです。全く、乱暴な例え、ですけどネット世代の尾崎豊、と書いたら怒られるだろうなあ。思いつきです(笑)。ということで、機会がありましたら。曲ですね。もう一回、彼の曲を。「アイネクライネ」を。
あ、NHKのドキュメンタリー「ラストデイズ」見ました。太田光が「COVERS」以降の清志郎を辿る。よく出来てましたけど、直接、ダイレクトに清志郎に迫って欲しかった気もしました。5回忌です。明日は、Silent Sirenの野音。じゃ、お休みなさい。