いやあ、良いコンサートでしたねえ。予想を遙かにしのいでいた。まあ、どう転んでもつまらないライブをする人ではないわけですが、ここまでとは思いませんでした。スタンデイングオベーションしてしまいました。立ち上がって拍手をしたくなる、そんなコンサートでしたよ。
編成がこれまでと違う。ドラムとベースがいない。キーボードとシンセ、ギターとパーカッション。しかも、ピアノが小島良喜さんでシンセが福田裕彦さん。つまり、浜田さんコンビ。音の広がりや想像力がすごい。曲の持つ空間や、その向こうに広がっている世界を見せてくれる。
歌もそうだったんですね、というより歌がそういう演奏を呼んでいた、というべきかな。確かに、若い頃に比べれば、声量とか音圧は変わってきているんですが、それを個性にすることに成功している。年を重ねることの徒労感や疲労感も色気になる。そんなコンサートでありました。
元々、彼の声には、そういう儚い美しさはあるわけですが、そこに特化している。儚さのファンタジーというんでしょうか。老いることや衰えて行くことの消え入りそうな美しさというんでしょうか。選曲もそういう曲ばかり集めていて、どっぷり浸りました。
新旧取り混ぜているんですけどね。でも、世界観というか、表現しているものが共通する曲を集めていてアレンジの方向性も一致しているんで、新旧という感覚がしなくなっている。このために書いたのではないかとか、イメージの統一感ができあがっている。
年を取った男性アーテイストが行き着く形にブルースというスタイルがあると思うのですが、そこに行かない。よりデリケートな美学を構築するのに成功していたという感じです。これこそ独壇場。見たことのないコンサートでした。”70才現役”が見えましたね。
というようなことをこんな私的なところで書いていて良いのか、とも思うんですが。どっか、書かせて下さい(笑)。あんなに素晴らしいコンサートをやっているのに、評判になっていたとは言いにくいんじゃないでしょうか。もっと知らせる、広めることが必要なのに。自分の力不足が歯がゆいです。
というわで、今日も良いコンサートでした(笑)。曲です。もうツアーが終わったから良いか。陽水さん「海へ来なさい」を。ほんとに胸騒ぎがするくらいに良かったです。じゃ、お休みなさい。