という一角があるんですね。築地の魚市場の外なんですが、小売用のお店が並んでいるんで、僕らがイメージする市場、という感じに近い。今、移転問題が起きているのは、その中の業者さんたちが集まっているところで、その外になります。
昨日、そこで飲んだのですが、良かったんですよ。そういう一角ですから、6時半なのにほとんどのお店が閉まっている。開いているのはそういう飲み屋さんとかすし屋さん。比率にして1割くらいかな、ほとんどが、小さな魚屋さん。あるいは、そういう人を相手にした食堂。営業時間も午後1時くらいまで。
初めて行ったんですよ。随分前から友達とも行こうと行ったりしてたんですけど、午前中から飲むのも変だし、何となく縁がなかった。でも、良かったですよ。もう、何しろ魚がうまい。新鮮この上ない。メジナの刺身とか、メヒカリの焼き物とか、生ニシン焼とかね。
築地のお店ですから新鮮は当たり前でしょうけど、安い。あそこは行きそうだなという感じですよ。もっと嬉しかったのは、そこの店長さんが、僕の本を読んでくれていたこと。それがあって、ということじゃないですよ、それはおまけ。
あの辺はニュースやテレビで見ているよりはるかに広くて規模が大きい。移転問題は、大変だろうなというのが分かります。そこだけで一つの街になっている一角を移転するということ自体が無謀なんじゃないかと思うわけですが。
しかも、土壌汚染の場所に行くわけでしょ。どんなに土を入れ替えても、しみ込んだ毒性はなかなか抜けることはないように思うのは素人考えなんでしょうか。仮にも生鮮食品ですからね、というようなことを思ったりしました。
でも、銀座より向こうというのは、あんまり行かないですけど、あの辺に行くと、東京は歴史のある街だなと再認識しますね。築地、穴場であります。コンクリートの下には洋々たる海が広がっている、そんな気分になれるかもしれませんよ。コンクリートの下には汚染土壌が広がっている、は勘弁してほしいです。
曲だ。魚ね。拓郎さん、「虹の魚」。ニジマスって淡水魚ですよね。海じゃないか。ミスチル「擬態」。アスファルトの上で血を流している飛び魚に擬態、だっけ。ちょっと痛い感じですね。市場に上がったばかりの魚を食べて、何に擬態しましょうか。
スピッツの「魚」。これかな。アスファルトの下に海が広がっている、という感じですね。築地のアスファルトをはがして、地下に向けて釣り糸を垂れる。コンクリートジャングルのワカサギ釣り、という感じでしょうか。
そう、別役実さんの「スパイ物語」にそんなシーンがありましたね。昔、新宿のATGで見ました。常田富士夫さんが主演で、音楽が六文銭でした。小室さんもおケイさんもいたんだ。ステージの上手で生で歌ってましたね。
歌詞にあるでしょう。「雨が空からふれば」。”お魚を釣れば、お魚もまた雨の中”。あのシーンだ。ものすごいことを思い出したね(笑)。迷子になったスパイが公園で地面に向かって釣り糸を垂れる場面でありました。つーことは、曲はそれか。築地の魚屋の話じゃなくなったね(笑)。小室さんで「雨が空からふれば」を、じゃ、おやすみなさい。