お会いしたことはないんですけどね。あ、今、新宿です。昨日、彦根に行って名古屋に泊まって、新幹線で大宮に行って、「J-POPマガジン」の生放送をやって、湘南新宿ラインで戻ってきて、この後、TBSラジオの「リッスンソウル」という番組で収録二週分。その合間です。
伊坂幸太郎さんの「ゴールデンスランバー」という小説を読んでいて他のことが飛んでしまいました。読み始めが一昨日かな。500ページもある長いものなんですが、まあ、面白い。この後どうなるんだ、こいつは、というハラハラ感は小説のすごみでしょう。
昨日も今日も新幹線の中で没入でした。ボーっと外を見ているのが好きな”乗り鉄”なんですが、窓の外にも目もくれず。今どこを走っているかも眼中になく、停車駅で止まって、初めてどこを走っているかを知るという具合でありました。
実を言うと、伊坂さんは読んだことがなくて、斎藤和義さんとコラボをした、という程度しか知らなかったんですけど、店頭でこの小説を見て衝動買いしてたんですね。そのままになっていたのをふっと手にとって読み始めたのが、運のつき、というのは変か(笑)。
ネタばらししますね。ライブはやばいなと思いますが、小説は、僕のテリトリーじゃないし、そういうことを期待する人も、逆に怒る人もいないでしょう。モチーフはケネデイ暗殺ですね。日本でもし首相が暗殺されたら、という設定。普通の人がその犯人に仕立て上げられるんですよ。
ケネデイ暗殺の時はオズワルドという犯人が殺されたのかな。同じように、何の罪もない男が、そういう役割に巻き込まれてゆく。国家の謀略に翻弄される一市民。偽情報や偽物、警察発表の情報しか流さないメデイア。街中のあらゆる情報が管理されている監視社会。リアルでしたねえ。
犯人に仕立て上げられて必死で逃げようとする男をかくまうのは、ヤクザや不良少年、通り魔というアウトローたち。彼らとは別に力になろうとする学生時代の友人たち。「ゴールデンスランバー」というのはビートルズの「アビーロード」の中の曲ですね。
バラバラになってしまったビートルズに対してのポールの願いや嘆きでもあるわけですが、犯人に仕立て上げられた男と学生時代の友情という伏線の人間関係もあって、そういうタイトルになってました。文中に歌詞が出てきたりするのが切ないわけです。
こういうの、ありそうだよなあ、と思うと背筋が寒くなる。それでいてニヤリもホロリもあって見事にエンターテイメント。小説家はすごいです。国家にとって個人なんて虫けら以下という感じが、強烈です。国もテレビも信じちゃいけないよ、という小説でもありました。
ということで。氷室さんの彦根、すばらしかったです。音楽だけは信じられますよ。伊坂さんもそう言ってるようでした。曲ですね。TBSは二週録り、一週目は来週が一周忌の加藤和彦さんについて、二週目が浜田さんについて、であります。何だろう THE BOOMかな、「気球に乗って」。どうしてこの曲なのかは是非、歌詞を。じゃ、また。