今、昨日書いたものを読み直してみていくつか補足した方が良いかなと思ったことがありました。今年が一番面白かったと思わせてくれた要因の一つにステージが二つあったことを上げないといけませんね。中央にひとつではなく、左右にそれぞれのステージがある。
片やバンドアクト、もう一方はBankBandと、彼らをバックにしたゲストアーテイスト。ステージが二つあるわけですから、準備が効率的なわけです。片方が演奏中に、もう一方は、音こそ出せないものの、それ以外の準備が出来ます。だから、進行が早い。
そればかりではなく、BankBand対ゲストバンド的な見え方もしていて、たとえてみれば、紅白歌合戦的な関係にも見えてました。出演者に実際そういう対抗意識があったかどうかは分かりませんが、見ている側には、そんな風にも見えて、それが緊張感にもつながったんじゃないでしょうか。
お天気の話も付け加えましょう。三日間、あんなに晴れたのも珍しかったですし。初日が梅雨明け当日というのも初めてでしょう。いきなりの青空で、それが一日中続いて、更に、夕焼けです。ステージ裏がオレンジ色に染まって、それが客席後方に連なってゆく。
夕日を浴びた客席に伸びる、それぞれの人たちの影。野外イベントの一番ロマンテイックなシーンが展開されてました。昔、映画で見たアメリカのロックフェスの映像がそういう感じだったんで、頭にあるんでしょう。「つま恋」は周囲が山ですからね。稜線と夕焼けのマッチングが最高です。
気候の関係なんでしょうね。飛行機雲が何本も空に刻まれて、それがうっすらとした淡い雲になって消えてゆく。演奏を聞きながらぼんやりとそんな様子を見ている。歌や演奏が、空に吸い込まれてゆくような気がするわけです。
そういう夏フェスはあんまりないですよ。一度にたくさんの出演者を見ることが出来るというお得感が強調されているものはありますが、まさに音楽環境という意味であんな素晴らしい場所はないんじゃないでしょうか。
昨日、「何で自分たちが呼ばれたんだろう」とステージで口にしていた出演者もいたと書きましたけど、そういう人たちがみんな口をそろえて「良いところだなあ」と漏らしていたのも印象的でした。色んな要素がこれだけ詰まったフェスは他にはないと思いますよ。
ミスチルの選曲の話もしないとね。一曲目が「シーラカンス」。色んな意味に取れました。時代にそぐわない、トレンドや流行に流されない、周囲から白い目で見られていようと、飄々と、黙々と存在する。宮沢賢治さんの「雨にも負けず」、みたいな曲に聞こえました。
ヒット曲で盛り上げる、という常套手段を使わなかった気がするんですね。それも潔さに思えた次第です。普段のコンサートでは聞けない曲でありながら、ここで演奏されることの意味も十分に斟酌されている。そんな素敵なライブでありました。
更に補足、もう一つ。真心ブラザーズのYOーKINGは、高校生の時に85年の拓郎さんの「つま恋」に参加したのだそうです。その時のことを話しながら「聖地・つま恋」と言う言い方をしてました。ap bank fesが、その次の新しい歴史を作ることを願っております。
まだあるか。ライブスペースが多目的広場だけじゃないことも付け加えないといけませんね。丘の斜面を利用したステージやキャンプエリアなど、敷地がめちゃくちゃ広いですからね、色んなところでライブをやっている。ほんとに楽しみの選択肢の多いイベントだということも、です。
そんなことで、ひとまず三日間の話は終わりかな。さすがに今日は起きられませんでした。何もしてないのにね。それにしても暑い。東京の方がどんよりと息苦しいくらいに暑い。沖縄の人が、「東京の方が暑い」と言いますからね。沖縄に避暑に行くと言う笑えない時代が来るかもしれません。
明日は、TFMの「ディア フレンズ」のゲスト収録。呼ばれているんですよ(笑)。「終わりなき日々」について話を聞いてくれます。放送日は8月かな。でも、取り上げてくれるのはほんとにうれしいです。皆さま、ご協力、よろしくお願いします。
というわけで、曲ですね。ミスチルのステージの最後の曲だった「es」を。"何が起きても変じゃない、そんな時代さ”というフレーズは、あの曲が発売された時よりもリアルになっているかもしれません。猛暑の行き着く先はどこなんでしょうか。じゃ、おやすみなさい。