言わずと知れた氷室さんの名セリフであります。1986年7月2日、BOO/WYの最初の武道館での「ライブハウス武道館へようこそ」というMC。ロック史に残るフレーズになっております。ゆずが初めて武道館をやった時には「ライブハウス武道館へようこそ」を5回くらい連発してました。
そういう意味では、拓郎さんが75年の「つま恋」で口にした「朝までやるよ」に似てますね。いつか自分もあのセリフを叫んでみたいと思わせる何か。その一言だけでシーンが見えてくる、そんなフレーズであります、って前置きが長過ぎ(笑)。
今日も、そのセリフが飛び出したわけです。9mm Parabellum Bulleteの初武道館。ヴォーカルの菅原卓郎さんが、「みんな、慣れてきた?ライブハウス武道館に」と言ったんですね。それだけじゃなくて、「ほんとは、その後にここは東京だぜ、って言わなきゃいけないんだけど」と続けたわけです。
お主、やるじゃん。知ってるじゃん、でありましたね。彼は客席に「知ってる人いる?」と聞いたんですが、反応はほとんどなかったですね。数人ざわついた程度かな。20年以上前ですしね。それだけお客さんが若いんでしょうね。でも、思わず声を上げそうになってしまった次第です。
そうやって継承されてゆくというと大げさですけど、何か、良い光景を見た気がしましたよ。ライブは良かったですねえ。お客さんがあれだけ爆発的に盛り上がるライブは少ないでしょうね。肉弾戦を楽しんでいる感じですし。椅子があるのにですよ。
爆音系なんですけど、音にも言葉に詩情がある。破壊的詩情というか、自爆的哀愁というか。音だけで終わらないロックバンドであります。そういう意味では全然スタイルは違いますけど、RADWIMPSと双璧な感じです。詩人的な面でも、平易な言葉で実感的なリアリテイを歌う達人、野田さんとは対照的ですね。
そう、菅原さんの方は、情況的ポエジーという感じですね。ロックのポエジーというのは、こういうものだよな、と思わせてくれます。ロックバンドですよ。最近は、レコード会社も体力がなくなってきて、即席のヒット狙いが多く、じっくりとバンドを育てる余裕がないみたいですけど、こういうバンドが出てくるんですよね。
という、なかなか楽しいロックな夜でありました。ライブハウス武道館は、やっぱり素敵なところです。というわけで、曲ですね。「ライブハウス武道館へようこそ」。BOO/WYの「IMAGE DOWN」を。じゃ、おやすみなさい。