先週の土曜日ですね。某機内放送でのアルバム紹介を収録したばかり。あっという間に4日か経ってしまいました。あの日は大宮でNACK5「J-POP TALKIN’」の完パケを終えてそのまま六本木のスタジオに直行。年末らしいスケジュールになりました。
King Gnuの4枚目のアルバム。先月末に発売。アルバムチャートの一位になったのは当然の結果と言っていいでしょう。今。一番勢いのあるバンド。前作の「CEREMONY」から4年間に発売された全シングルと新曲という21曲が収録されてます。
でも、アルバムとして一味も二味も違うのは、それぞれの曲に手が加えられ、イントロやインタールードが書き下ろされている。曲の解釈や曲の流れから見えて来るものがシングル単体で聞いていた時とは違って聞こえる。
ちょっと手を加えたり並びを変えることで違う意味が感じられる。ロックやジャズ、クラシックにソウル、現代音楽と歌謡曲。彼らの表現力の多彩さや多面性を見せつけるスケールの大きな劇的なアルバムになってます。
暴動寸前のような破壊的な衝動が迸っていたかと思うと今にも消え入りそうな儚いバラードもある。カオスのようなストリートのエネルギーと花鳥風月の融合。生と死の狭間で泣いたり叫んだりという感情の起伏が曲になっている。生々しいアルバムです。
それを可能にしているのはひとえに常田さんの音楽的蓄積とそれを具体化するメンバーの応用力と演奏力。井口さんのファルセットボイスでしょう。過激さと美しさの両方を備えたロックバンドという意味でも独壇場じゃないでしょうか。
彼らを初めて見たのは2018年の10月かな。ソニーの新人コンベンション。メジャーのアルバムを出したばかり。他の出演者とは次元が違ってた。あまりのクオリテイの高さに普通のリスナーに受け入れられるんだろうか、と思ったんです。
とんでもなかったですね。音楽ファンにとっては待ってました、という感じだったのかもしれませんね。今のリスナーがいかに耳が肥えているかを証明したように思えました。2022年、東京ドーム、去年、日産スタジアム。来年、ドームツアー。その先は世界でしょう。
他のロックバンド、これまでのロックバンドと決定的に違うことの一つに「作家性」があると思ってるんです。「文人性」と言ってもいいでしょうね。太宰治とか坂口安吾とか無頼派と呼ばれた作家のような気がする。
そういう「芸術性」を感じるロックバンドは初めてじゃないでしょうか。でも、インタビューはしたことがないんです。させてもらっても僕には到底太刀打ちできそうにない。力不足を自覚してます。ライブをみせてもらえれば十分という感じです。
アルバムは「MIRROR」というイントロのついた「CHAMELEON」で始まり、「MIRROR」の逆回転のアウトロで終わる。タイトル表記も裏返し。最後の曲になっているのが「三文小説」。タイトルは「偉大なる無名」。彼らの死生観、芸術観のようでした。
そうだ、色々調べていて知ったのですが「ヌー」という動物はアフリカの草原を旅してゆくのですが、途中の川でかなりの数が溺死する。そうやって命を落とした仲間の骨が川や草原の生態系を支えているんだそうです。
命の儚さとそれが繋がってゆくこと。「偉大なる無名」にはそんな意味もあるのかもしれないな、と思いました。じゃ、お休みなさい。
遅くなりましたけど、あの日に無事終わりました。僕らの生活時間としては「早朝」に近い、朝10時からでした(笑)。でも、こちらの都合でキャンセルしてしまったわけですからそんなこと言える立場ではありません。
今日、12月13日発売の10枚目のアルバム「〇」について。水野良樹さんと吉岡聖恵さん。水野さんはまだ三人体制だった2021年にインタビューしてますけど、吉岡さんは、前々作の2019年のアルバム「WE DO」以来、かなり久々でした。
彼らを初めてインタビューしたのが2007年のメジャーデビューアルバム「桜咲く街物語」の時だったと思います。デビューシングル「SAKURA」を出た時に「誰、これ!」と思ったのが最初の出会いですね。その後は全部のアルバムで取材してます。
2009年の4枚目のアルバム「ハジマリノウタ」の時の全都道府県ツアーはかなりの数のライブを見てますね。ソニーマガジンズから出たツアーブックの取材。どこへ行っても三世代に渡る幅広い年齢層が集まっているのに驚かされた記憶があります。
その後に出たアルバムが「NEWTRAL」。「中庸」「中立」。突出した方がセールスに結びつきやすいというロック・ポップスの中では割と難しい立ち位置なんですね。、この10年でそれをやりきって一番成功した若いグループが彼らでしょう。
大御所では小田さんとか達郎さんとかはいますけどね。いきものがかりの水野さんは、小田さんの「クリスマスの約束」の「委員会バンド」のメンバー。10年以上は経ってますね。今回の「〇」は、その背中を追うようなアルバムに思えました。
インタビューの中でもそういう話をしてました。どこまで曲をシンプルにできるか。一番言いたいことをどこまで分かりやすく伝えるか。メロデイーも言葉も装飾的な形容や曖昧な修飾を使っていない。
これまでは男性二人のソングライターが書いた曲を女性のシンガーが歌うことで生まれるバランスが彼らの魅力でしたけど、そこは変わりましたね。水野さんと吉岡さんが「作り手」と「歌い手」として一体化している。
水野さんの「僕」の言葉が吉岡さんの「私」と重なりあう。水野さんが個人的な気持ちを書いても吉岡さんの歌になる。その中和作用みたいなものが「歌」を浮き立たせてくれる。二人になったからこそ作れる世界がありました。
来週の火曜日の「毎日新聞」の「今月の特撰盤」に入れたので、そこでの原稿にも書きましたけど、「〇」というタイトルに込めたものという話が面白かったですね。ジャケットがじゃがいもみたいに少しひしゃげた「〇」の絵が描かれている。
決してマンマルじゃないけど、でも「〇」。つまり、「それでいいんだよ」というメッセージが込められている。アルバム全体に流れているのが「肯定」なんですね。今の世界が「×」で覆われている中で若い人たちに伝えたいこと。
水野さんも吉岡さんも一児の親になりましたからね。10代の若い人たちに対しての見方も変わってきたんでしょう。高校生と話して生まれたという歌もありました。今までに歌ったことのないようなストレートなメッセージも歌もあります。
「〇」というタイトルで思い出したことがあるんです。ジョンレオンがオノヨーコさんに惹かれるきっかけになった「天井の絵」という彼女の作品があるんですね。天井から虫メガネが下がっていて、それで天井を見ると「YES」と書いてあった。
60年代は「NO」の時代でしたからね。反抗の時代。その申し子だったジョンが「YES」という「肯定」のユーモアに惹かれた、という有名なエピソードですね。国も音楽も違いますけど、無茶苦茶な「×」の時代という点では共通するかもしれません。
笑って「〇」と言えることの意味、みたいなもの。第二のデビューアルバムということになりそうです。FM NACK5「J-POP TALKIN’」。1月の4日と11日のオンエアです。というわけで、アルバムタイトル曲「〇」を。
体調、だましだましですね。めまい、ふらつき、気温差とどう付き合うか。そして、引っ越し。低下するばかりの処理能力でどこまでやりきれるか。人生最後の綱渡りという感じの年末になってます。じゃ、お休みなさい。
Mr.Childrenのツアー「miss you」。10月に出た新作アルバム「miss you」を携えてのツアー。アルバム発売前からスタートしているという異例のスケジュール。しかもアリーナ、ドーム、スタジアムが当たり前だったのに何とホールツアーです。
彼らをホールで見るのはいつ以来かなと思ったんですが、なかなか思い出せない。記憶にあるのは渋谷公会堂だけ。渋公は二回やってると思うのですが、調べたらなんと93年と94年だった。30年ぶり。思い出せないはずでした。
アルバムはFM COCOLO「J-POP LEGEND CAFE」やANAの機内放送で特集をしたりしてたんで、どこかで見せて頂こうと思ってはいたんですが、明日、行くんです。二度とないかもしれないホールですからねから好きなホールで見たかった。
何と、大宮ソニックシティ。音もいいし、見やすいし、お客さんのノリも素晴らしい。まさかあそこでMr.Childrenを見ることが出来るとは夢にも思わなかったです。かなり楽しみなんです。ドキドキするという感じかな。
今回のアルバムは事前情報もないし、メンバーも語らない。ファンも承知してるんでしょうか、ライブのネタバレも目につきませんし。あのアルバムは大会場を想定してないと思えるパーソナルなものでしたから少しは語るのかなとかね。
あ、語ったとしても書きませんからご安心を(笑)。でも、明後日がNACK5の「J-POP TALKIN’」のクジラ夜の街のインタビューの完パケなんですね。二日続けて大宮に行くことになるわけで、明日は泊まることにしました。
二日続けての大宮往復は体力的にしんどい。またいつめまいに襲われるか分からない。終わったらすぐにホテルに戻れる。もはや夜の街に飲みに出るというようなことはありません。そういうのはもう終わりました(笑)。
クジラ夜の街のインタビューはボーカル・ギター、ソングライターの宮崎一晴さん。面白かったです。22歳。「ファンタジーを創るバンド」ということについて熱弁。説得力がありました。彼らはNACK5の金曜日の0時から30分番組もやってます。
僕らは水曜日。彼らは金曜日。同じ時間帯の番組で話してるのに年齢差が50年以上ある(笑)。NACK5は面白い放送局だなあと妙に感心したりしました。というわけで、Mr.Children「miss you」から「黄昏と積み木」を。じゃ、お休みなさい。
というバンドがあるんです。多分、ほとんどの方はご存じないでしょう。今年の5月にメジャーデビューしたばかり。12月6日にデビューアルバム「月で読む絵本」が出ます。東京の都立高校の同じ軽音楽部の4人組。まだ22歳かな。
FM NACK5「J-POP TALKIN’」の年末のゲストがなかなか決まらなくて、今年は色んな意味で新しいことが動き始めた年でもあるし、最後はそういうバンドやアーテイストで終わりましょう、ということもあっての人選ですね。
名前もどこかメルヘンチックなものですし、アルバムのタイトルもそう。バンドのキャッチフレーズが「ファンジーを歌うバンド」。どこかに都会のおとぎ話的な雰囲気のある曲が並んでる。それでいてバンドの演奏力も達者で雰囲気に流されてない。
ファンタジーという言葉の捉え方もあるんでしょうけど、女性が歌うファンタジーとも少し違う。夜の街角で拾ったどこか非現実的なショートショートのようでもある。夜の街角で星空を見てるみたいな感じがする。
今週と来週のゲストが女性シンガーソングライターの吉澤香代子さん。彼女もふぁたじー少女なんですが、小学校5年から5年間不登校で、その間「魔女修行」をしていたというファンタジーの世界にどっぷり浸っていた女性ですからね。
これは偶然と言えば偶然で、そういう人を探したという意味ではかなり必然的。ファンタジー志向のアーテイストが続くことになりました。こんな時代ですからね。どっかで「ファンタジーの復権」を願う気持ちもあるんです。
現実は変えられないけど想像力は無限だ、という感じですね。せめて音楽では夢を見ていたい。そういう若い人たちが増えていることの表れただろうなと思ったりしてます。クジラ夜の街も、そういう若者に支持されるのではないでしょうか。
高校名は明かされてますけど、東京都立武蔵丘高校。軽音部では全国有数の強豪校だそうです。彼らも高校軽音楽部の全国大会で優勝しているという経歴の持ち主。すでにNACK5ではレギュラー番組も持ってます。
で、先日はお騒がせしました。何とか復帰してます。ただ、パソコンに向かって集中して原稿を書いてると立ち眩みがしてくる。騙しだまし、休み休み、という感じです。というわけで、曲です。クジラ夜の街のインデイーズ時代の曲「歌姫と海」。良いタイトルでしょ。じゃ、お休みなさい。
深謝。深く謝ること。昨日、いきものがかりの収録が出来ませんでした。ひとえに私のせいです。明け方に目が覚めて寝返りを打とうと思ったら天井が回ってました。右も左も向けない。身体を固くして仰向けになってるしかない。
そのままの状態でうとうとして朝になったのですが、ちょっと頭を動かすと同じようになる。座っている時は大丈夫なのに下も上も向けない。頭痛もする。慌てたのは今までに経験したことがないくらいに血圧が高かった。
去年の12月に救急車のお世話になってから毎日、朝と夜と血圧を測るようにはなってますが、今までにない数値でした。あまり人より自慢できることは少ないですけど、血圧が問題ない、というのは割とそういう感じだっただけに怯みました。
デイレクターに今日は無理だと思うと伝えてちょっと横になって午後にいつ診てもらってる病院に行ったわけです。でも、当日のキャンセルですからね。先方は一か月くらいのプロモーション日程を組んでるわけで代わりの日はないことが普通。
今回は縁がなかったことになるなあ、と覚悟していたら日程を出してもらえることになりました。申し訳ないとありがとうございます、という気持ちでいっぱい。大袈裟ですけど、全国のラジオ関係者ともどもお礼申し上げますという感じです。
結局、疲労だろうと言われてしまいました。血圧もそれまでいつも測ってこなかったんで、その数値に驚いてしまいましたが、そんなに珍しいことじゃないとのこと。病院に来るより寝てた方がいいと思いますよ、というオチでした(笑)。
大阪が思ったよりしんどかったことになるんでしょうね。翌日は大丈夫でも二日後に出るのが老人性疲労(笑)。めまいはカミサンが調べてくれたのですが「良性発作性頭位めまい症」のようでした。
めまいがしたら、同じ動作を何度か繰り返すと治まるという荒療治がある。もちろん能とか他に原因がある時はもっての外でしょうけど、疲労性とか自律神経から来ている時は効果的なようで僕も今日は乗り切れました。
ただ、疲れてるのは確かみたいで、それに輪をかけて気温の変化についていけない。原稿は無理。明日からという感じです。関係者の皆様、ご迷惑をおかけしました。というわけで、今日も早寝します。
曲ですね。いきものがかりの「ありがとう」を。ベタだなあと思いながら(笑)。新作アルバム「○」では、その先のいきものがかりが聴けます。じゃ、お休みなさい。