という映画があるんですよ。今年の春先かな、「ぴあ」の読者ランキングで何週間か連続して一位だった映画ですね。息子が教えてくれて、父の日のプレゼントにDVDを送ってくれたんですね。でも、時間が取れないままになっていて、やっと今日見ることが出来ました。
ライブもそうなんですけど、映画もねえ、ちょろっと片手間というのが出来ない。年というか、世代なんでしょうね。映画を見に行くときは一日がかり、みたいな時代でしたしねえ。デートするにも映画、みたいな、やっぱり特別なものだったりして、DVDがあるから家事の合間、みたいな感じになれないわけです。
途中から見たりするのも駄目なんですよ。ライブもそうなんですけどね。きちんと一曲目から見られないんだったら行かない。不可抗力のことで間に合わないことがあるのは仕方ないですけど、一日に何本も途中から、みたいなのは駄目ですね。
話が逸れました。で、今日、やっと時間が出来たというか。突然の空き時間だったわけですけどね。良かったですねえ。何度か鼻がグスグスになりましたよ。これを今の若者が良いと言ってるんだというのもなかなか興味深かったですが。
話はそんなに複雑じゃないです。アメリカの、どこだっけ田舎町にある、老人のコーラスグループが主人公です。日本で言うとママさんコーラスみたいなものか。年令が半端じゃない。70代は若い方。最高齢は92歳かな。白人黒人交えた男女。グループの名前が”ヤング@ハート”なんです。
”ヤング・アット・ハート”というのは、心はずっと青春、みたいな意味ですね。森田健作みたいだけど(笑)。でも、彼みたいに、それを売り物にして政治に出たりはしません。彼らのコンサートまでの7週間を追ったドキュメンタリーなんですよ。
ドキュメンタリーですからね、ハリウッド映画みたいな誇張されたCGや仕掛けは何もないわけです。ただ、決定的なのは、彼らが歌うのがロックなんですよ。ジェームスブラウンやデイランと言った、クラシック的なロックからソニックユースという最近のパンクバンドの曲まであります。
プロデユーサーが彼らの現在の心境や、状況に合った歌を選んでいるということもあるんでしょうけど、ママさんコーラス的な”余暇”の感じがない。余命いくばくもない老人の言葉とも言えそうな歌を選んでいる。杖をついたり、点滴のチューブを放せない人たちがそういう曲をみんなで歌うわけです。
それも有料ですよ。数千人は入っていそうな会場で歌う。7週間のリハーサル中に、心臓病などで死んでしまう人もいたりして、残された人たちが、彼らの意志をついで歌ったりしてゆくわけです。デイランの「フォーエバーヤング」が歌われたりするんですけど、あんなにリアルな「フォーエバーヤング」は初めて聴きました。
おまけにみんな明るいんですね。最後まで好きなことをやれるという達観なのかな。アメリカ人の特質なのかな。最後まで冗句を忘れない。あれは日本じゃあり得ないのかなあと思ったりしました。音楽の共有感の違いと言うんでしょうか。半分うらやましかったです。
何年か前、キューバの「ブエナビスタ・ソシアル・バンド」という老人のバンドの映画が評判になりましたけど、こちらは、歌われているのがロックですからね。しかも、プロというよりも、普通の老人たちが主人公ですし。なかなか泣かせました。
そういう年代に入ってるんですよねえ。先日、評論家の平岡正明さんが亡くなりましたしね。「山口百恵は菩薩である」を書いた人ですね。僕らの一世代上です。と言っても数年ですけど。そういう年代がいなくなって、次は僕らになるんだなあ、と思うわけです。で、「ヤング@ハート」ですよ。是非、ご覧になってください。
横浜の「浜田島」展覧会、見応えがありました。田島さんは大芸術家でありました。脱帽です。というわけで、デイランの「フォー・エバー・ヤング」かな。あれ70年代ですからね。デイランは30代か。ということは、その頃から、”年を取ること”について考えていたということになりますね。
「浜田島」の展覧会で、浜田さんの近影でしょうね。田島さんが撮影したリハーサルの動画が流れてました。デイランに似てきたなあと想ったのは僕だけでしょうか。あ、メジャーリーグのオールスターのオバマさんのジーンズは格好良かったです。「フォー・エバー・ヤング」かな。じゃ、お休みなさい。