僕が行ったのは昨日でしたけど、今日もありました。寒かったですけど、面白かったです。でも、寒いとか言ってるのは、座ったまんま見ている僕らだけで、お客さんは終始総立ちで盛り上がってましたから、そんな風に感じた人はいなかったかもしれません。寒かったとか言ったら笑われるよね(笑)。
何せ33曲、4時間半あまりですよ。さすがに僕は今日の放送もあるし、6時起きだし、二回目のアンコールで出てしまったんですが、それからまだ30分近くやってたみたいです。若いからねえ。現役高校生が二人もいる。若いという言葉すら早いかもしれないというエネルギーの天衣無縫、天真爛漫なステージでした。
何が驚いたかというと、バンドが生だった。しかも、キーボードの武部聡志さんを筆頭に、え、こんな人がという一流ミュージシャンがずらり。ロックからパンクからファンクから、熟練の演奏を展開し、それにももクロの5人が食らいついてゆくんです。歌がうまいとか、そういうレベルじゃないんですけど、本気、体当たりの歌は、それぞれの歌の本質を浮かび上がらせるくらいに迫真でした。
ももクロの曲は、アイドルに書いたとは思えないような壮大な曲だったり、最先端だったりします。ジャンルもスタイルもごったになった何でもありで、歌詞も、10代の女の子には分かるはずがないような深遠なことが歌われていたりする。でも、彼女たちが体当たりで歌っているうちに彼女たちの言葉のように聞こえてきたりする。歌になりきっているように思えてくるんですよ。
今回のアルバム「5DIMENTION」にしても、学校の校庭がどうしたとか、教室の思い出がとか、初恋の時がとか、いわゆる同年代的な青春ソングはありませんからね。SF的宇宙も「スターウオーズ」のようなファンタジーじゃない。詳しくは知りませんけど、「エヴァンゲリオン」以降の若者達にとっての宇宙というのは、こうなのかなという哲学的な世界。それを真正面から歌うわけです。
それがリアルに聞こえてくる。それでいて悲壮感もなくて、あっけらかんとした明るさもある。プロと言えばプロなのかもしれません。西武ドーム超満員のお客さんの前で感謝の言葉を口にする時も、こみあげているものはあるように見えても、泣かない。ステージで泣くのはプロじゃない、と思ってるのかな、と思うくらいに根性が入っている。
なんと、ゲストにこうせつさんが出てたんですよ。mihimaruGTとこうせつさん。「神田川」と「あの素晴らしい愛をもう一度」を一緒に歌ってましたが、彼が「あんなに踊って、しかも生で歌って、どうしてそんなにけろっとしてるの、どっからエネルギーが来るの」とあきれたように素朴な質問をしてました。
彼女たちは「下から」とか「上から」「横から」「客席から」とか思い思いの答えをしてましたけど、ほんとにそう聴きたくなるくらいの運動量。身体能力の高い10代のピックアップメンバーで構成されたにしても、圧巻でありました。
アニメとかゲームとか、SFとか、そういうバーチャルの世界で遊んできた世代が、バーチャルという制約を破ってリアルを体現しているというんでしょうか。音楽を作っているのは、そういう世界の実績のある人たちが多いんですよ。でも、彼女たちはリアルの世界にいて、歌をよりリアルにしてしまっている。リアルがバーチャルを凌いでいる、という画期的なライブのような気がしました。
というようなことを書きたくなるグループなんですよ。でも、ライブを体験しないと分からないでしょうが。昨日書くには、量が多すぎました(笑)。曲ですね。アルバムの最後の曲「灰とダイアモンド」を。じゃ、お休みなさい