いやあ、良かったですねえ。久々、ハイテンションになりました。声を出しそうになったくらい。こんな風になったのはいつ以来かな。氷室さんの年末の武道館以来か、ってついこの間じゃん全然久々じゃないよ(笑)。でも、女性のソロとなると思い浮かびません。ということは女性ソロ最高の武道館だったということかな。
何が良かったかって、ロックなんですよ。ギター二人とキーボード、ベース、ドラム。ギターの二人は元EL-MALOのアイゴンと彼女の曲を書いている盟友のシノッピ。二人が猛烈に暴れる。タイトなビートで突っ走る。彼女はほとんど踊りっぱなしです。
でもねえ、どんなに演奏がやんちゃでも彼女のシルエットは崩れない。見事でしたね。まるでバレリーナ。以前からそういうスタイリッシュなところはあったんですけど、一層磨きがかかってきた。しなやかで優雅で軽やか。ビート・ヒロイン、ビート・プリマドンナ、ビート・フェアリーという感じでしょうか。
ポイントは”手”だと思いましたね。ヒラヒラと舞う感じ。足や身体の動きはビート系なんですけど、手のひらはクラシックバレエ。指先まで歌ってる。真っ直ぐに伸びた指先とか、身体の前を泳ぐ手のひらとか、フラダンスみたいだったりもする。それに背筋は真っ直ぐです。
手のひら、実は、ライブでは重要なんですよ。何人かいますね、そういう人が。女性だとみゆきさんかな。古くは越路吹雪さん。みゆきさんの指先も饒舌で華麗なんですよ。男性だと誰だろう。古くはショーケン、萩原健一さん。最近では氷室さんと、後は誰かな、吉井さんかな。
指や手首、手のひらを少し動かすだけで、場内の空気が変わる。シルエットが精巧じゃないと、それも生きないわけです。カエラさんは、スタイルもモデルさんみたいですし。あんなロック・ヴォーカリストはいないでしょう。武道館を魅了してました。
それだけじゃなく、これも前から定評のあった、客席とのやりとりのうまさ。あしらい方ね。野次も歓声も受け止めて返すことが出来る。20代とは思えない落ち着き。曲に託した気持ちの説明などのトークは”歌のお姉さん”みたいな親しみを込めて語りかけることが出来る。何のはったりもない感じです。
何しろ、2時間半ですからね。まあ、若いから体力もあるんでしょうが、声も最後まで出てました。蜘蛛という一見魑魅魍魎的生物をモチーフに、最後にはハッピーエンデイングが待っている。流れも良かったですって、ツアーファイルだから書いちゃっても良いんでしょうね。楽しい時間でした。
そうだ、これを書かないと。今日は三日間公演の最終日でもあって、関係者招待の日だったんでしょうね。周りはそういう人ばっかりでした。でもねえ、両となりが、腕組み無愛想そっくり返り、憮然としてライブを見てる。体型は小太りですよ。絵に描いたような業界人。何であんなに不快そうなんだろう。お前ら、帰れよ!と言いたくなりました(笑)。これ、付け加えておきます。
というわけで、曲ですね。元々好きな曲でしたけど、とんがりアレンジがめちゃめちゃカッコよかったです。カエラさんで「TREE CLIMBERS」を。じゃ、お休みなさい。