今、海浜幕張です。BAY FMの「MIND OF MUSIC・今だから音楽」の生放送を終えたばかりです。今日はKinkikidsの新作アルバムの特集でした。この番組はどのアルバムを取り上げるかスタッフも交えた合議制なんで、なかな普段接しない人たちも扱うので色んな発見があります。
Kinkiの新作は、今まで彼らに曲を提供してきた作家との再会アルバムでもあって、拓郎さんが久々に新曲を書き下ろしていたりしてます。「危険な関係」という曲ですが、興味深いアルバムです。この番組放送開始以来、一番多いメールの量でした。ありがとうございました。
さて、ここ数日のやりとりについて、僕の言葉足らずから、話のいきさつをご存じない方にもご迷惑をおかけしてしまっているようで、あらためてお詫びします。ここは、言ってみればプライベートスペースみたいなものですから、影響力の強い人というか、特定のアーテイストのことはあんまり書かないようにしてます。
寝る前の気晴らし、で始めたものですし、そんなに構えずに思ったどうでもいいことをダラダラ書いている方が多いわけで、それでもありがたいことにいつも読んでくれている方もいらっしゃいます。ここ数日は、そういう方達にも矛先が向いてしまったようで、本当に申し訳なく思います。
カミサンは閉鎖すれば、と言ってるんですが、元はと言えば僕がきっかけになってるわけですし、不親切なことを書いてしまったのも事実でしょうから、改めて、思うことを書いてみようと思います。曲がりなりにも自分の責任で文章を書いているわけですから、そこは、避けて通るつもりはありません。
発端となったサイトのレポートについてですが、自分の責任で書けることを書きます。一番のご批判の対象となっている「書かなかった」ということについてです。正確に言うと「出てこなかった」ということだと思います。自分の中から出てこなかった。そこに行かなかった。
何を書くときでもそうなのですが、結論があって書くわけではありません。短い原稿はそうじゃないですけど、あのくらいの長さになると、まず書き始めてしまいます。とりあえず最初の一行というか、一番最初に浮かんだことから書いて行きます。書きながら思い浮かんだことをたぐり寄せる、という感じでしょうか。
もちろん締め切りもあります。その時間を見計らいつつ、このくらいの感じかなと目安をつけつつ、思い浮かんだことを書いて行きます。あの日は、二日間で取材したことも多く、一つ一つ思いだしながら、発言を確認しながら書いていったということになります。
いつもより時間がかかったのは、ライブの次の日に仕事が入っていて使えなかったことと、取材した人間の数が多く、その整理があった、そして、書くことが多かった、ということでしょう。何かの調整をしていた、というようなことは神に誓ってありません。
ですから、長い原稿の時は書き終えてから自分で「こうなったんだ」と改めて気づくことも多かったりするんですよ。簡単に言うと「こんな原稿になっちゃったんだ」という感じです。ただ、僕は、数字だの固有名詞に関してはかなりアバウトですから、編集サイドがその辺の校正をしてくれます。
確かに、多くの方がご指摘のように、あの日のライブはいつもと違いました。どうしたんだろうとも思いました。こういう終わり方になったのか、ともです。でも、あの日、涙したのも事実でした。それは僕にとっての事実です。そして、あのレポートに書いた通りです。あそこには感じてないことは書いてません。
そうやって自分が素敵だなと思ったことや、このツアーで感じたこと、あの日思ったことをたどっていったらああなった、というのが一番正直なところだと思います。”いつもと違っていた”ということよりも”涙した”ということの方が僕の中で重要だったんだと思います。
音楽は自由です。作る方も聞く方も、です。それに対して何を感じようと、何を書こうと一切の制約があるべきではないというのが僕の立場です。でも、それは人それぞれの事情もあるでしょうし、同じ物差しで測ることも出来ませんし、すべきでもないと思います。ですからご批判も自由です。
コンサートも同じで、一つのコンサートを見た時に感じることは人それぞれでしょう。100人の聞き手がいれば100通りの感想があってしかるべきでしょう。僕の書いたものも、その中の一つです。ありがたいことに、あれだけの場をもらえている、ということについては感謝しているという以外にありません。
”出てこなかった”ということに全てを帰してしまうつもりもないです。きっと無意識の中で「書きたくなかった」ということもあるんだとは思います。無意識のうちに避けてしまった、というんでしょうか。それを書くことがお前の仕事だ、と言われるとしたら、それは僕の仕事ではない、という気持ちもあります。
あの日がそうだったと言うことではなく、たとえどんな問題のあるコンサートでもそこに一人でも感動している人がいれば、その人の気持ちを傷つけたいとは思いません。そういう時は書かないようにしてます。たまには、頼まれたコンサートで予想とはずれることもあったりします。そういう時はお断りするようにしてます。
書きながら思ってますが自分の中でどこかでバランス感覚が働いたのかもしれませんね。もし、これを書くことでツアーに傷がつくとしたら書くべきではない、という判断、というんでしょうか。それより、自分が涙した、ということの方が大事だったのではないでしょうか。他人事のように言ってますか、でも改めてそう思います。
音楽について書くことと原発や東電について書くことは違うと思ってます。政府や国家権力のような強大な力に向かって行くジャーナリストと僕らは同列には語れません。それは卑下するとか、卑屈になるとかではなく、なぜなら、音楽には人間の生き死にに関わるような境界線がないからです。
音楽は人を感動させ、楽しませるものです。それについて書くことも同じではないでしょうか。もし、「真実を覆い隠そうとしている」と批判されるのでしたら、それは”知りたいこと”の違いなんだと思います。僕は自分の涙、が真実だったと思ってます。そういう瞬間があったことは僕の中では、やっぱり素晴らしいんです。
今回のことで誰も傷つくことがないことを祈るばかりです。こんなはずじゃなかった、と思われるお怒りもその方にとっての真実なんだと思います。でも、そのことについて僕には語る言葉があrません。というようなことをいつものように読み直しもせずに書きっぱなしで送ろうとしいる自分が怖い(笑)。
ご批判、自由です。今、そういうご不満をどう処理すれば良いのか、やるかたないということは理解しているつもりです。でも、こんなこと書いちゃって後で後悔しそうだなあ、とも思ってます(笑)。ま、プライベートだと思って下さいね。この後、サカナクションのライブです。じゃ、また。
そうだ、曲ですよ。Kinkiのアルバムの中の「危険な関係」。拓郎さんの書き下ろし、良い曲ですよ。じゃ。また。ありがとうございました。